作曲作品 - 二胡弦堂


 弦堂の方で作曲・編曲しました作品で皆さんにも自由に演奏いただけるものをここに掲載いたします。編曲の場合で原曲に何か権利関係のようなものがあるけれど、それでも使えるものは掲載しますが、そのあたりは一応注記しますのでルールを守る範囲では使っていただいて構いません。何も書いてなければ使用上の注意点はありません。使用に関して許可などは不要です。印刷物には「弦堂作曲」或いは「弦堂編曲」と入れていただければそれで結構です。

 色分けは、伴奏追加オリジナル編曲とします。


  四方曲  .m4a 2.2MB pdf譜 孫文明
    「流波曲」の方が有名ですが、孫自身はこの「四方曲」をたいへん気に入っており、演奏会では必ず冒頭でこの曲から入ったと言われています。まるでバッハのような作品です。そうであればフーガにできないかということでやってみました。数字譜に変える場合はBが1になります。基本的には二泉胡か中胡2把が合うと思います。もちろん二胡でも問題はないと思います。


  トーマス・カントル就任300周年記念マタイ受難曲弦楽四部版  .m4a 4.5MB pdf譜 バッハ
    ヨハン・セバスチャン・バッハ(1685-1750)は、短くも波乱に満ちたケーテンでの生活から離れるため宮廷楽長の職を辞し、1723年にトーマスカントル(ライプツィヒ楽長)に就任しました。これは高位の職でしたので幾人もの有力候補が取りざたされましたが、カントルは市の教育全般も担当する必要があったため(当時の音楽家は教養人だった)忙しい仕事でした。特にラテン語を教えることに難色を示す候補が多く、また現職の雇い主、王侯貴族らが昇給で引き止めるなどしたため辞退が相次ぎました。それに対しケーテン公の無関心と予算の削減に直面して立場が微妙だったバッハは、ラテン語の教職を受け入れ、以降生涯を終えるまで、後にザクセン宮廷作曲家も兼任しながら、カントルの地位にあって重要な作品を生み出しました。

最高傑作のマタイ受難曲はライプツィヒ時代に初演されたことが判明しています。やがて忘れ去られましたが、約100年後にユダヤ系銀行大財閥の一族だったフェリックス・メンデルスゾーンが14歳の時に祖母からマタイのバッハ自筆稿の写本を贈られ、これを使って19歳の時に復活上演しました。この写本にメンデルスゾーン自身によって鉛筆で書き込まれた現物が現在オックスフォードの図書館に保存されています。この上演は失敗でしたが、人々はバッハの大編成の作品にも価値があると目覚め、以降現代に至るまで様々なバッハの大編成作品が演奏されています。

先日、道を歩いていたら古本屋があったので少し覗くと、たまたまマタイ受難曲第一部の終結コラールが流れていました。その後、無伴奏チェロ組曲に変わったのでランダム再生していると思われました。そこで、マタイの第一曲を編成を小さくした弦楽曲に再編成したものを思いつきましたので制作いたしました。

原曲は弦楽4部に通奏低音、古楽器のフラウト・トラベルソ(現代のフルート)、オーボエ・ダモーレ(現代のオーボエ)が2本ずつで、この群が左右に1つずつで倍、さらに4声部合唱も2つに第一部は少年合唱団(ボーイ・ソプラノ。最近は女の子も使う)も加わり、各ソリスト、アダルトな合唱2ユニットに関してはエヴァンゲリスト(語りなのでレシタティーボのほとんどで登場するため忙しい)以外のソリストで構成しているコンパクトな編成もあります。これを今回、第一曲のみ弦楽4部に縮小したのですが、そもそも原曲は4声部ではない、かなり複雑です。コラール4声部でフーガもあります。1音も付け加えない、変更しないという原則で整理しなおしました。

これを以て、豊かな作曲資産を産み出したトーマスカントル時代の始まり、歴史的にメモリアルなその300年後にこれを記念いたします。

演奏する方はおられるのかわかりませんが自由に使っていただいて結構です。参考演奏はmidiでGoogleのAIが自動でやっています。無料アプリ故、AIに細かいアーティキュレーションの指示はできませんので、最低限の指定以外は好きにやらせております。

写真2枚は鈴木雅明さん提供のもので、1枚目は見つかった初期の自筆譜、冒頭部分で、最初は通奏低音が1群しかなかったことがわかります。最初期にはすべて1群しかなかったとされていますが、伝承のみで譜は見つかっていません。改訂する度に規模を拡大していることがわかります。2枚目は1736年に再演した時の自筆譜で、メルケル・ドイツ首相から天皇陛下に贈られたファクシミリです。第一曲のコラール、とエヴァンゲリストの語りを赤インクで書いています。ぶどう酒と血を示唆するものです。この箇所は第一曲30小節目から入る少年合唱団のパートでmidi音源では3:02です。マタイは第一曲にすべてが凝縮されています。ゴルゴダを仰ぎ見、贖いによって魂が浄化されて希望を持って歩みを始め、ゴルゴダに向かうイエスの歩みをより身近に、また重みもって思い起こします。このストーリーを予習してから聴いてください。あまりの美しさにワーグナー「パルジファル」やプッチーニ「トゥーランドット」など後期ロマン派の諸作に大きな影響を与え、ジブリ「風の谷のナウシカ」この3作はいずれも各作者の最高傑作、すべてテーマが「贖い」ですが、その源流を辿るとマタイ受難曲に行き着きます。美の原点、基軸、これを知らないと真の美を生み出すことはできないと言っても良いでしょう。天皇陛下も自筆譜の研究ですか。究極を探るとそうなっていくのでしょう。- 2023.08.16