古典の演奏に古楽器 - 二胡弦堂


 古典作品の演奏のために古楽器は必ずしも必要ということはないと思います。しかし古典の独特の技術的要求に応えるのは絹弦が拉きやすく、響きも古楽器の方が合います。特に調弦が緩い作品で鉄弦は難しいとされています。

 古曲と古典、古楽は似ているようで違うものです。古曲は古い作品全般です。どのようなものでも古い曲は古曲です。古典はその分野の様式や規範です。そのため単に古いだけの作品を古典とは言い難いものです。古楽は古典の演奏法、楽器、歴史学も含むものです。しかし厳密に分けられるものではありません。ということは現代の今に古典作品を制作することも可能です。中国の場合、古い作品では紀元前のものもあり、敦煌に残された初期の作品もあります。これらの原則を十分に反映した作品を作れば、それは古曲とは言えませんが古典にはなります。古典で非常に重要なのは民国期の作品群です。民国期とは清朝滅亡と大正元年が同じ1912年なので、日本では大正から昭和、非常に古いという程のものではありません。しかし文化水準は高い時代だったので、これまでの長い歴史の中で育まれた文化が交通の発達や外国文化の流入もあって最適化と集約の点で大きな発展がありました。劉天華や阿炳などの当時の現代作品、現代から見ると時代的には近代作品ですが、その内容故に十分に古典と言えるものです。古い花窓の装飾もっと後の時代、劉明源は新しいですが、古曲から素材を抜き取って、そこから繋げて作品に仕上げる手法でこれもやはり明確に古典です。むしろ模範的古典です。しかし演奏の方法は現代化も可能で、新しい可能性も追求されています。そうなると、その演奏は古典とは言えない、それを承知の上で制作するものもあります。劉天華や阿炳などは古典作品であることは間違いないのですが、演奏の方法によっては古曲という捉え方もできれば違ったりもします。戯劇作品は古いものでも結構問題なく鉄弦が使えますが、それ以外の古曲は古琴の影響もあるので絹弦の方が良い傾向があります。

 中国における「古楽」は一般的な学問的定義に従うと敦煌から元曲ぐらいまでに相当するようです。「梅花三弄」や「陽関三畳」といった曲で知られています。元代以前の音楽は遠く現代にまで影響を及ぼしているので古楽の影響はあらゆるところで見受けられ、そうして見ていくと劉天華や阿炳のような20世紀の作品ですら古楽の発展形、その一部ということになるわけです。どのように旋律が継承されてきたか研究している人もいます。使われているのは旋律的素材なので、古いものであるとはいえ現代的にアレンジすることも可能です。これは作曲方面だけでなく演奏法についても言えます。