アジャスターとは、音程を調整するためのねじ込み式の金具のことです。これは一般に、絹弦には使うべきではないとされています。しかし効果はともかく、実際に使う分には問題はほとんどありません。
アジャスターは屈折があります。絹弦は折れに弱く(鉄弦でも、もちろん同様ですが)そのためアジャスターは弦の耐久性を失わせるという考え方があるようです。しかし弦は、駒の部分には曲がる圧力が相当かかります。すぐ近くで弓が運動するので、かなりの圧力になります。それでも問題はありません。アジャスターだけを問題視するのは理に適っていないように思えます。
しかし別の理由で、絹弦とアジャスターは適した組み合わせではありません。写真のような金属の琴軸の場合は、絹弦を短くしてしまわないと中に収められませんが、巻き込むだけなので一応使用は可能です。しかし絹弦はかなり伸び続けますので金属軸で延々と巻き続けるのは困難です。ほぼ不可能と考えた方が良さそうです。同じ理由で、絹弦にアジャスターを付けるのはあまり効果的ではありません。アジャスターによる変化は僅かで、鉄弦なら微調整できますが、絹弦ではほぼ効果は分かりません。
通常、絹弦の切れる位置というのは、曲がる部分ではありません。多いのは、第一把位あたりか、控制綿の下など真っ直ぐな部分です。横より縦の圧力に弱い傾向があります。鉄弦も同じだと思います。