抱翁堂製 白磁公道杯 - 二胡弦堂


 中華の杯は小さいので、茶壺や蓋碗から全量を注ぎ切れません。まず「公道杯」に注ぎ、そこから各杯に分けます。しかし公道杯を使わないことも多く、例えば潮州には茶盤があるので、注ぐ時に漏れる前提で複数の杯を密集させ連続で大雑把に注いでいきます。

 公道杯を使うと、白磁に触れたことで何らかの影響を受けてしまいます。影響を避けるためにガラスを使って比較しますと、ガラスは舌触りに少し角があるということがわかります。茶専門の高級ガラスですが影響はあります。ガラスを使うと茶のヘタリが速い、例えば10泡淹れるところで7泡ぐらいしか持ちません。ですがガラスの方が普通と考えるべきです。そこが白磁公道杯の価値です。抱翁堂による古代白釉研究の集大成です。

抱翁堂製 白磁公道杯

    ¥10,500

 大きさは製作者の方から、直径10cm,高さ6.3cm,容量130ccです。どれもほぼ同じには見えますが、手で作っているため微妙な個体差があります。

 中国大陸の茶店では顧客に試茶させますので、その時に信用の観点から公道杯にガラスを使うところが多いです。彼らプロの手際の良さによって手品のように旨い茶を出され「騙された」とならないように、タネも仕掛けもないことを示すために、プレゼンスが極めて低いと考えられるガラスを使用します。しかし小杯にガラスは不似合いらしく、ここは明らかに安価な白磁を使用し、これはもちろん誰が見ても安価品である必要があります。蓋椀も同様です。これらの組み合わせは長期的には不経済です。茶店では顧客に大量の水分を与えるわけにいかないことから、僅かずつ淹れますので、長い時間淹れ続けることが可能です。

 古代からのデザインは人間工学的実用的に考えられたものですが、それはフィードバックして改善を重ねた上で決定されています。それは現代でも同じです。それでこういう形になりました。周囲に置かれる茶壺や杯とのデザイン的バランスもあります。釉薬や泥のバランスもあります。一番使用頻度の高いものが公道杯です。良いものが1つあれば十分だからです。