二胡用ピックアップで録音拡声する - 二胡弦堂


NeotenicSound  弦堂ピックアップ中心の話なので、まずはどういうものか確認されてから以下に進んでいただければ。

 ピックアップ(PU)は、DIとか楽器用の端子に挿して使いますので、何に挿すかによって評価が非常に変わります。全く使い物にならないという人と、マイクと遜色ない、場合によってはマイクより良いかもしれないという人がいます。インピーダンスのマッチングがどれぐらい取れているかで音が変わってきます。普通、一般に音響機器はメーカーが接続のことを考えて作ってあるので、使い手の方で接続のマッチングを考えなければならないというのは特殊なことです。PUはかなり繊細なものであるという認識が求められそうです。弦堂が本PUを見出したちょうど同じ時期に、大阪のガレージメーカー・NeotenicSoundがPUの電気臭さを取り、よりリアリティを高めるエフェクター・AcoFlavorを発売しました。同社は長年この問題に取り組んでこられましたが、ついに画期的なものができたということで発売されたばかりでした。そこで弦堂は2018年3月に岡山の西岡良高老師とNeotenicSoundを訪問いたしました。

 AcoFlavorは増幅器ではありませんので、NeotenicSoundではPureGainerを用意していました。PureGainerはアコースティック楽器にPUを使うためのプリアンプで、Acoがなかった時にはPUを直接挿していましたが、さらにその前段にAcoFlavorも使うのが常識になってきたことでPureGainer単体での使用は想定しにくくなり、現在販売分はよりマッチングさせるための回路変更がPureGainer側でなされています。本稿の段階ではまだ改良されていません。弦堂から持ち込みましたPUのみ、それにAcoFlavorを追加したもの、さらにPureGainerを追加して試して参りました。アンプ(スピーカーの方に内蔵の)も増幅しますので、その前にPureGainerを置いたということは、増幅機器は2段になるということになります。そうすることで音の安定性が増していることを確認してみて下さい。

 動画のサンプルはちょっとわかりにくいのですが、二胡本体からの音とアンプの両方から出ている音の比較になり、AcoFlavorを通した音の方が違いが分からなくなっています。AcoFlavorつまり二胡の生の音と同じ音がアンプからも出ているということになります。会話も入っているのでその内容で直に聴いた感じがどういう状態だったのか推測いただくこともできると思います。PUだけであれば若干圧縮が強いような音です。PureGainerを通したものはより安定感があります。

 AcoFlavorの出力インピーダンスはMasterの位置で多少変化しますが、具体的には0で10kΩ、5で8.5kΩ、10で0ΩのAカーブです。ほぼ5前後で使うことになると思うので受ける機器の方は10kΩ以上がいいでしょう。ですから必ずしも楽器用の端子でなければならないことはないと思います。入力インピーダンスは1MΩでした。

 インピーダンスのマッチング以外に、周波数特性の問題もあります。アナログの記録、つまりテープ、レコードなどはフラットな周波数特性で記録できません。低音が強く高域が落ちて記録されるので、再生機器にイコライザーが入っていてフラットに修正した上で聴きます。LPレコード、テープでもレコード会社や製造会社によって補正カーブが違います。PUも同じような特徴があり、カーブもLPレコードとほぼ同じです。しかしフォノ・イコライザーは入力インピーダンスが低いのでPU用に転用することはできません。AcoFlavorはカーブを調整することでどのようなPUにも対応できるようにしています。しかしこれだけでは不十分だったらしくAcoは後段に補正回路が入っています。

   特にPAではマイクではなくPUを使うのが弦堂からのお勧めですが、色々状況や考え方もある中でどうしてもコンデンサーマイクにしたいという場合があって、それもまた様々な選択肢があると思います。クリップ式のものでは管楽器用のものも使えます。二胡専用というと中国からの輸入品があったりしますが、国産ではEriu 2&6さんが販売しておられるERIU-02CMがあります。リンク先にスペックやYouTubeでの比較映像もあります。その他、FaceBookでも販売しておられます。