雑音を抑えるには、どうしたらいいですか? - 二胡弦堂


二胡の琴托の鉛が流し込まれていた穴  控制綿は弦に触れる程度に装着し、きつく押し込まない方がいいようです。少しずつ試しながら量を調整します。市販のものは分量が多すぎることがあります。

 まず雑音が出る原理ですが、弦の共鳴と楽器の共鳴がずれるから、ある音程で(楽器によって違う)狼声と呼ばれるかすれた音が出るというものです。音が打ち消しあったり、異音を発するようになります。これは不良ではなく、むしろ鳴りの良い楽器によく見受けられ、胴共鳴させる楽器の宿命ともいえるトラブルだとされています。温度や湿度の影響を受けることもあります。

 楽器の価格が安い場合はどうでしょうか。安物だから雑音が出るということはないと思います。楽器の値段と雑音との関連性は基本的にないと言っていいです。こういう安い楽器は、中国の老人が普通に使っていますので、皮が薄い点に注意する必要はあるものの、丁寧に使っているとびっくりするような美音を発するものもあり、彼らはそういうものを何十年も演奏し続ける傾向がありますから、古いけれど聞き惚れるような音を出すものは多数存在します。それでも音はやっぱり高級な楽器の方がいいでしょうね。安物はペラペラの音しか出ません。これで音が育つのかと思える程です。しかし、このことと雑音とは関係ないということです。古い楽器は当時高価なものでなかったとしても、現行のものとは材が全く違います。そういう楽器の美音を聞いて、現行品でも安い二胡を買って育てて行こうというのは間違っていると思います。古楽器の多くは黄花梨を使用しており、これはインド紫檀より優れた材です。

二胡の琴托から外した鉛 二胡の雑音についてまず、道具が悪いという方向から検討したいと思います。

 まず、弦が古くなっている可能性です。弦は普通、切れるよりへたる方が早いと思います。プロのように弦にかける圧力が強い人は、切れるまで使う人もいます。交換して綺麗な音になったら、これが問題だったということになります。

 弓にも問題があるかもしれません。
どんな二胡弓を選んだらいいでしょうか?
二胡弓はどのように手入れをすればいいでしょうか?
も参照して下さい。

 それ以外の理由としては、控制綿や開放弦の雑音に触れたところで解説しています。

 また、2本の弦がねじれて交差しているという問題も結構あります。この状態で調弦しますと、スチール弦でしたら切れる場合もあります。弦はそれぞれ独立しており、千斤部分で平行に並んでいる必要があります。上下して重なっているのは望ましくありません。

二胡の琴托に銀を流し込んだ状態 琴托の中の見えない部分には鉛が流し込んであり、これが楽器の響きを作っています。この鉛と木材の間に気温や湿度の変化によって隙間ができて、これが異音を発する原因になっている場合があります。これを、接着剤で止めた人もいます。私は、一枚目の写真のようにこれを全部外し(外したものはその次の写真)ここへ銀を流し込む(3枚目の写真)という荒技を発注しました。元の鉛は60g以上あり、銀は50gですから少し足りなかったようですが問題はありません。音は上品で落ち着いた音になりますから、多めに銀注入が良かろうかと思います。しかしこの注入過程で、周辺の木材を若干焼きつつ流れていきますから、あまりお勧めできるものではありません。職人さんはなるべく焼かない方向で努力してくれますし、木に噛みついた方が良かろうということで、結果的にはよかったようです。いぶし銀という言葉がありますが、まさにそういう傾向の音になります。金ですと輝かしい音になると思われますが、高価ですので現実的ではありません。三味線の場合は、竹の駒に、鉛、銀、金のどれかを埋め込むことがあるようです。この場合は少量ですので金を使えますが、二胡の場合はせいぜい銀だろうと思います。

 次に演奏技術的な問題を検討します。まず教科書どおりですと、どうすべきかを考えます。

 重要なのは、弦に噛みつく弓の圧力、弓のスピード、弓と弦の角度、これらの関連性だとされています。内弦の場合は指でしっかり圧を掛ける、外弦は力を抜き、竹をデンペンにしっかり付けると学ぶかもしれません。やってみると確かにこの基本は重要らしいということがわかってきます。しかし、弓のスピードがいつも一定以上ですと表現力が乏しくなりそうな気がしますし、プロが演奏しているDVDなど見ますと、弓が平行ではなく、上下に自由に動いているのも見ることがあります。だから、基本どおりでなくても、それなりにきれいに演奏できることもわかります。それで最初のころは、曲をとにかく基本通りにきっちり弾くことを目指し、慣れてくると自由に表情を付けてみるというのはいいかもしれません。基本通りが慣れていれば、そこからどの程度はみ出しても問題ないかわかります。楽器がきちんと調整されていれば許容範囲は広いかもしれません。若干、部分でざらついた音が出ても、曲のイメージには合っているかもしれません。

 技術は大切ですが、あまり考えて神経質になっては楽しめませんから、少なくとも道具の状態ぐらいはきちんとして、演奏に狂いが出てもだいたい問題ない程度に準備して楽しめば良いと思います。道具に頼ることに後ろめたさを感じる必要はないと思います。名人ほど、道具には詳しいものです。

 演奏技術の悩ましい問題ですが、そのある部分は、松脂の変更で何とかなることもあります。例えば、弦にかける圧力が足らないとします。それで雑音が出ているとします。そうしますと、もっと力を入れればいいことになります。それで雑音が消えたとします。しかし松脂を弦に噛みつきの良いものに交換すれば努力せずに解決します。これは極端な例かもしれませんが、楽器との相性もあると思います。それほど高価なものではないので、金銭で解決できるならそうする方がいいと思います。

 ここまでいろいろ考えましたが、これでも完全に消えない場合があります。それでも、年数が経てば、共鳴点も移り、問題がなくなってくるかもしれません。私の中国の老師は、とにかく強くバリバリ弾くよう勧めます。上記の改善的など細かいことは無視しています。(ご本人は無視しているつもりはありませんが・・)本当かわかりませんが、ある説によると、新しい楽器は貼り合わせなどの部分が安定しておらず、響かせることによって落ち着いて来ると言われています。ともかく、この問題が出る楽器は共鳴が良いということなので、悪いと考えないようにした方がいいようです。この共鳴点のずらし方ですが、駒の材質を変更すると消える場合があります。工房によっても形や素材の入手場所などが異なりますから変わってきます。ショップに出向いて事情を説明し、いろいろな駒を試すことができれば解決できるかもしれません。ネットでは写真を見るだけですから、買ってみないとわからないと思います。




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