贋作の二胡は、どこに行ったら見つかるのでしょうか? - 二胡弦堂

 


贋作の二胡を販売する売人  右の写真の方にご注目いただき、次いでこのページの題と比較しまして非常に気になられた方はたいへん鋭い感性をお持ちでいらっしゃるわけですが、本稿の趣旨がそういうテストではないということで「彼の持ってきたケースの中に何が入っているのか?」とか、そこはまあ置いといて、とりあえず先に進めたいと思います。

 しかしそれにしてもこの質問「贋作の二胡は、どこに行ったら見つかるのでしょうか?」もなかなか出てこないと思います。なぜなら日本人は中国が偽物天国と思っています。・・否定はしません。しませんが、それにしても偽の二胡はなかなか見つかりません。

 中国で偽とか詐欺的と言えばまずはやっぱり中関村(zhong-guan-cun:中关村)です。(注:東京で言うと秋葉原に相当する電気街)私も騙されたことがあります。それでも好きです。用があると自転車で行っていたこともあります。こういう顧客がいるから悪が繁栄するのではないでしょうか。わかってはいますが独特の魅力はあります。良い売人もいますし。公安部の見解としては腐敗は容認し難いレベルということで、月に1回は討伐キャンペーンのようなこともやり、逮捕者も一定数挙げて成果も発表しますが・・・ぜんぜん変わっていません。左の写真は中関村のパソコン修理屋で、ここにはお世話になったことはありませんが、こういうところに持っていくと正規品のバーツはことごとく抜かれ、ごっそり交換されてしまいます。

 もう一つ例ということで、不動産業を扱いたいと思います。日本も評判が悪い場合もあると思いますが、これは万国共通で問題も似通っています。敷金を返さないとかは普通でこれぐらいで済めばまあいいんじゃないでしょうか。それら多くの問題を引き起こして大騒ぎになった時に北京電視台(北京テレビ局)で"黒仲介"として多くの企業名が晒されましたが、そんなものはどこ吹く風で堂々と営業しています。写真は私の家の傍にある一番近い黒仲介の澳風地産さんです。(このコンテンツを皆様にお楽しみいただくために一っ走りして撮ってきました) 我愛我家の方が見た目は怪しいですが、こちらは一応普通とされています。ちなみに私はどちらも信用はしていません。取り締まり? ある訳ないでしょう? 経営者は富豪ですし、本社はオーストラリアに移して先に逃げていますから。澳風の澳はオーストラリアのことなのです。澳風地産はこの店舗ともう一件を近くに構えていて、狙いは師範大学の学生と思われます。こうして地元の人以外とか外人を騙す例は北京・精華大学がある五道口付近で有名ですが、大学があるところではどこでもある問題です。中国に行かれる方は心配な点と思いますので黒仲介をここに列挙しますが、基本的にどこも信用なりません。黒仲介リストは特に真っ黒で危険だということで理解いただいて良いと思います。中天置地、中旺置地、世纪恒远佳业、星辉置地、恒久伟业、金诚亿家、京城广厦、华宇置地、易信嘉业、利源置地、久兴置地、广发地产、龙金厦房屋中介、京亿地房地产、腾达伟业房地产、溢海情缘房地产、日升广安、乐居行、叁贰玖投资、富伟地产、卓进房地产。中天は結構そこら中にあります。真っ赤の看板です。

 中国の怪しさをたっぷりお楽しみいただいたところで話を戻しますが、北京の楽器街・新街口はどうでしょうか? おそらく中関村と比較して規模が小さすぎ、討伐を受けると一溜りもないので偽は置けないのかもしれません。それぐらい全くないです。不動産業のような権力と財力もありません。私自身も偽の二胡はほとんどこれまで見たことがありません。偽はネットではよくあるとされていますので、実際の店舗を構えていないというのは信用の点では、すごくマイナスになります。

 この辺で最初の写真に戻りたいと思います。これは場所としては新街口南大街107号付近の路上ですが、カートに二胡を2把積んだ売人が、いかに自身の二胡が貴重なものであるかを説明しています。開けますと、どちらも"王国兴"(wang-guo-xing)です。安いです。印度紫檀です。お父さん曰く、90年代の作ですが、実際にはとても新しいものです。品質はとても良いものですから、おそらくお父さんがどこかの工房に発注し偽銘を入れて貰ったのだと思います。こういうものを直に見る機会はなかなかないので、私が食いつくように鑑賞、試奏していますと、売れると勘違いされてしまいました。お父さんの殺し文句は「心臓が悪いから治療費のために売る」です。これも言う人が結構多いので、マニュアルとか、そういうものがあるのかもしれません。

 新街口では中古の二胡を買い取るということがありますので、そういうものが店頭に置いてある場合があります。左の写真はその内の1つですが、とてもわかりやすく「小葉檀」と書いてあります。インド紫檀です。明らかにうそなので、インド紫檀が保管してあるところには置いていないし、インド紫檀として買い取ってもいません。しかし安値で体裁をつけたい人もいますので、こういうものも必要なんでしょうね。信じた方が幸せになれることもあるということですね。またこういうゲテモノ蒐集の趣味もありますので、そういう向きにはいいのかもしれません。