絹弦は、切れやすくありませんか? - 二胡弦堂


中国の古い秦琴。二胡と一緒に江南絲竹で使われる。  二胡のような擦弦楽器の場合は切れやすさを心配することはありません。切れるより老朽化による響きの減退の方が早いのでスチール弦と実際にはほとんど変わりません。老朽化が感じられれば切れていなくても交換するのは絹弦、スチール弦共に同じですが、それでも構わず使用することの方が多いと思います。そうするとやがて切れるという流れが一般的です。絹弦は質感としては、たこ糸や畳糸のような感じのものです。三味線のように固いバチで弾き続けるようなこういう使用法を前提に作られていますので、二胡で使用する場合は切れる心配は普通はしません。弦を弓で擦り続け、古くなってくると磨耗で馬尾の当たるところが細くなってきます。それでもそこで切れることはありません。他が先に切れます。

 弦に折り目を付けるのはあまり好ましくありません。スチール弦は折り目をつけた時点でもう使えないですが、絹弦はまだ持ちこたえます。折ってしまっても過度に心配はしませんが、極力避ける必要があります。

 始めてチューニングをする時は極力チューナーを使った方が良いと思います。なぜなら、スチール弦より張力が弱いので感覚が掴みにくいからです。うっかりきつく張ってしまうと切れてしまいます。絹弦はスチール弦と同様、3~4度ぐらい音程を高くしても切れませんがこのあたりが限界です。特に新しいうちは伸びるので、なおさら切れにくいです。これをさらに高めていったところのテンションはスチールと同じぐらいですが、ここまで張力を高めるのは危険です。適正な張り具合は、スチールと比較してかなり緩いです。この違いのために、不用意に締め上げないように気をつける必要があります。絹弦はスチールに比べて弾力があります。もし絹弦をスチール弦と同じくらいに締め上げれば楽器を壊すことがあり、事実そういう方もおられます。弦は非常に丈夫なので切れるより先に弦軸が壊れることもあるのです。絹弦が切れた場合は良かったと思った方が良いぐらいです。これはスチール弦でも同じことです。あまりに強く締めると楽器が壊れるか弦が切れるかという瀬戸際まで行きます。何度か経験すると慣れてきますが、それまでは慎重に扱って下さい。スチール弦も新品のものは伸びますが、絹弦はそれと比較にならないぐらい伸びます。それで頻繁に張りを高めますが、苛々して一気に張力を高めると寿命を縮めます。少しづつ伸ばしていきます。音程の安定には1日、あるいはそれ以上かかります。安定しない間は弦が伸びてゆき、音程が少しずつ下がりますがだんだん安定してゆきます。この安定した時点で音質が決められていますので、伸びきっていない間は雑音絡みで良い音は出ません。

 絹弦が切れる場合、ほぼ9割方は切れる場所が決まっています。それは控制綿の真下の宙に浮いた部分か、千斤のすぐ上か下です。どこにも接触していない部分です。折ったりもしていません。なぜこういうところが切れやすいかは、いろいろ調べましたがわかりません。普通、駒をよく付け替えて傷をつけたりした場合とか、弓の擦る部分などが弱そうだと予想できますが、実際傷がついたとしてもこういうところが切れることは極めて稀です。

 弦の琴托への結び方については縛り付けるのが最良です。輪を作って引っかける方法は音があまり良くありません。理由はよくわかりませんが手がかりとしては、ここからデンペンに至る部分が非常に切れやすいということがあるので、この付近の負担が大きいことが考えられ、そこへ輪を作る方法だと安定性に欠けるのかもしれません。振動が強いところが弱いようです。あまりスマートな方法ではありませんが、強く縛るのが最良です。縛る時に多少弦が折れてしまっても、これも問題ありません。この折れ目で切れたことはまだ一度も見たことがありません。しかし極力折らない方が良いだろうと思います。切れそうにない、何もないところが意外と切れます。縛ると外すのが煩わしいですが、それでもはさみが必要な程しっかり縛り付けるのが好ましく、弦の寿命も長くなります。それにも関わらず輪を作って簡単な方法を採りたいという場合があります。それは弦が古くなってきて、弦軸のあたりに巻きで余裕を持たせてあるという場合、少しずつ繰り出す方法でこれまで使用していた位置をずらすことで古い弦の味を残しつつ新しくしていこうという時に縛りつけるよりは簡単な方法で外せる方が良いということがあります。その場合の方法は図解を貼っておきます。




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