二胡の蛇皮は経年変化があり、古くなると音が良くなると言われています。
徐々にではなく、急に良くなります。
ある日突然、音が全く変わり、グレードが大幅に上がったような感じになるのが普通です。
これを「化ける」と表現することにいたします。
1回目は3ヶ月ぐらいで化けます。
1把の二胡しか所有しておらず、良く練習している場合が当てはまります。
その後も間隔は広がりますが、化けるポイントがあります。
この数回化けた二胡が、理想だと言っていいと思います。
この音は誰もが求めているものだと思います。
この化けた時の変化の方向は決まっています。
音が必ず柔らかくなります。
最初から柔らかい音で鳴る二胡を買うと、どんどん音の反応が鈍くなっていきます。
音が柔らかくなっても、芯が通っていないと演奏はしにくいです。
音は棹を伝って上に抜けるので、伝達能力の高い硬木を使います。
(「いや、音は胴の後ろから出るでしょう」と言われる方もあるかもしれませんし、確かにそうですが、もし楽器がそんなに単純なものであれば、胴の素材だけに拘っておけば良いことになります。しかし実際には棹の素材は胴より重要であり、沖縄三線はまず棹の質を重視します。二胡も同様に棹が重要で、素材の質によって音が激変します)
そのことを考えた時に現在の材ではインド紫檀が最良とされています。
硬い良材は金属的な程に抜けが良いですが、これぐらいでないと音が化けた時に不満が出てくると思います。
とはいえ、育った後の音の傾向は、新品の二胡から推し量ることができるので、素性が良いかどうかは新品の状態で見極められます。
それで、一部の特注生産の工房では、蛇皮の張りが好ましくない場合は剥がしてやり直します。