二胡の棹にニスが塗ってあるので、滑りにくいです。 - 二胡弦堂


 これは上下に換把する時に、左手が棹に密着し移動しにくい、特に高音から低音に移動する時に楽器が持ち上がってしまうというトラブルです。中国南方の楽器はかなりニスを使っているものがあり、使用ニスがいかに音響的に優れているか記載がある場合すらあります。西洋弦楽器は専用のニスを使うので、この研究を応用して中国民族楽器にも使っているようです。それでニスを使っていることと、材の良し悪しは関係ない場合があります。優れた材は確かにニスを必要とはしないかもしれませんが、それでもニスを使っている場合があります。北方の楽器はあまりニスを使わない、或いは目立たないように使う傾向があります。

 ニスがあることによって演奏しにくいのであれば、演奏法が間違っているということは言えると思います。ニスが多いことで棹に手がひっかかるのでしたら、なぜこんなにニスを使った二胡が多いのか、ということになります。バイオリンの棹にもニスが塗ってあります。ぜんぜん問題ないので塗ってあります。

 古楽器は現代二胡より1/3ぐらい軽いものもありますが、それでも適切な演奏であれば楽器が持ち上がることはないです。楽器そのものの重さだけで接地しています。ましてや、重い現代楽器であれば、例えニスが分厚く塗ってあるとしても普通持ち上がることはありません。それでも持ち上がるとなると、かなり棹を掴んでいるということになると思います。

 日本は湿度が高いからという人もいます。しかし中国南方も湿度が高く、ニスは南方で好んで使われます。広州の楽器はかなりニスを使いますが、ここは年中雨が降る亜熱帯地域です。特に広州は周辺の香港や珠海方面と比較しても気候が独特で、強い雨を降らせる小さな雲塊が市上空を幾つも巡回しています。これに遭遇すると傘が役にたたない程のスコールのような激しい雨を突然浴びることになり、こういうものが日に数度はやってきます。いつ来るかは誰にもわからず、雨を避けられるかは運と言ってもいいぐらいです。10分ぐらい降りますと行き過ぎて晴れますので、市民は雨が降ると近くの建物に避難します。傘を差して歩く人は稀で、そもそも傘は役に立ちません。こんなところでも一応、天気予報はあります。晴れというのは雨が降らないという意味ではなく、もう少し違う意味で理解しないといけません。こんなジメジメした気候なので、手は汗をかかなくても湿っています。これでも演奏に支障は出ません。「手に汗をかくから」と言われる方もおられるので、私は自分の手を水道で濡らして実験しましたが、かえって滑りがよくなった程です。水と汗では少し違うかもしれませんがそれでも水分は関係ないと思います。

 ほとんど棹を持っていないような感じで演奏するのですが、持っていないと弦は押さえられません。換把の時にも滑音はよく使われるので棹は手に当たっており、有る程度の圧力は掛かっていることになります。しかし実際には親指と人さし指の間に添えているだけで演奏は可能です。不可能な場合、基本がおかしいと言うしかありません。運弓の場合において手首を使って弓を返すのと同様の動きが左手にも求められます。これができていないと問題は発生しやすいだろうと思います。それにそんなに棹をしっかり掴んだら響きも死ぬと思います。




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