空弦(開放弦)を使用するかどうかについて、どのように判断すれば良いでしょうか? - 二胡弦堂


 二胡の内弦の空弦から五度音程と外空弦は同じ音程です。どちらを拉いても演奏は可能です。しかし多くの楽曲では、いずれかが指定されている場合があり、何も記載がないものもあります。

 烛影摇红(zhu-ying-yao-hong:劉天華作)の引子(yin-zi:序奏)部の最後の2小節(8,9小節目)は、同じ譜を2度繰り返す形になっており、それぞれの小節で"2"が3回使われています。最初の"2"は内弦を奏し、次は外空弦、最後は内弦を使います。全部空弦を使う人もいますし、一方この2小節すべての音を内弦で奏することも可能です。どれも間違っているわけではありません。どの方法もすべて音程が同じなのでもちろんどれも結局は同じなのですが、しかし実際に演奏するとすぐにわかりますが、音響効果がぜんぜん違います。引子は楽曲全体の基調をなすものなので、ここでどのような表現を選択するかは以降の部分で選択する表現にも影響を与えます。

 外空弦と内弦の選択がこのような影響を及ぼすので、ある決まった様式の範囲で演奏される地方の民族音楽にあっては、個人の自由がない場合があります。これは楽曲が古いか新しいかに関わりなくあります。すでに様式は伝統的に決まっているので、楽譜に符号が明記されない場合もあります。符号の記載がないもう1つの理由は、味付けや装飾音の使い方が演奏者各自に委ねられているというものです。結局のところ自由があるのかないのかわかりにくいのですが、要するに曲の雰囲気とか様式、基本的な技巧の扱いは決まっているものの、それらの素材をどう扱い発展させていくかは各演奏者が決める自由も与えられています。

 とはいえ多くの中国民族音楽、特に戯劇は基本的には外空弦を使い内弦はいささか特殊な場合に使います。特に北方の音楽はこのように演奏します。内弦を使うのは特殊なのでほとんどの場合、その時だけ注記がある程です。何も書いてなければ外空弦です。これを憶えておくのは古典を演奏する時に参考になります。

 二胡は南方、江南地方の楽器なので、江南絲竹(jiang-nan-si-zhu)についても考えてみます。絲竹音楽においては外空弦、内弦どちらも多用します。特徴的なのは内弦の扱いで、江南絲竹の楽曲の多くはD調なので"5"をどう扱うかという風にも言うことができますが、"3"を拉く多くの箇所で垫指滑音(dian-zhi-hua-yin)を用います。つまり、書いていなくても3の前に5がある場合があります。5の次が3だったら間違いなく滑音をかけます。決まっているのでほとんどの楽譜には書いてありません。垫指滑音は江南絲竹の特点であり非常に印象が強いので、5-3の音型が同一小節内にある場合は、どちらか一方のみ滑音をかけます。演奏者が自由に決定します。このような特徴から江南絲竹における外空弦、内弦の扱いでは、他の地方の音楽に比べて内弦が使われることが多いといえます。京劇の場合は内弦を使うことはもっと少なくなりますので、内弦を使う場所は特殊な扱いとなりたいてい記載があります。この味わいは肝の1つです。学習の最初の段階では符号が丁寧に書き込まれたもので練習します。それで徐々に慣れていけば、様式の範囲内で自由に演奏できるようになります。




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