「中国音楽家協会二胡学会」とは何ですか? - 二胡弦堂


中国音楽家協会二胡学会  まず「中国音楽家協会」という大きな組織があり、有力音楽家が中心で構成されています。その下部組織として「二胡学会」があります。現会長は蒋巽風です。(注:その後、安如呖に変わりました。)副会長は大勢います。とりあえず、有名な方々はほとんどという感じです。会報が来る以外は、特に何もありません。表面的にはよくわからない組織です。

 中国は、大躍進、それに続いて文化大革命と、多くの人材を失いましたので、優秀な人材を国内に留めるのに非常に熱心です。人材評価については、文化部(文部科学省に相当)が行うようですが、この評価は正確を目指しており、人気や知名度に左右されません。基本的に実力のみで決まります。これは、中国が中国文化を世界的なものにしようという目的と関連があります。

 国家一級演奏員は働かなくても年金があります。2008年当時で月700元です。一般の老人年金は、最近増えて200元です。しかし軍籍の演奏家は待遇が全く違い、受取っていた給料と同額が支給され続けますから数千元から万になるようです。国家二級演奏員は、一流音楽学院を卒業すればなることができます。肩書きのみで特に何もありません。海外で活躍する奏者は、基本的に中国では二流以下の評価しかない場合が多いと言われています。一流が誰かは国が決めるわけで、海外に行った人は基本的に評価圏外なので、まあそうなるでしょうね。評価は一旦下されるとなかなか変わらない一方、演奏家としては、進歩や後退もあるので(有名になったら鮮度が下がるなどは、欧州ではよく言われる)有名無名は参考にしかならない場合が多々あるのは中国でも同様です。

 おそらく推測ですが、中国音楽家協会二胡学会は、そのあたりの実務などに関わる仕事をしているのかもしれません。二胡以外の分野にもこのようなものがあり、この政策のおかげで、中国は急速に文化、教育などの水準を高めています。(文化大革命以前の打撃から立ち直りつつある)これらは、国外ではほとんど知られていません。そのためか中国民族音楽に限っても、国外ではあまりさかんではありません。たぶん日本が一番愛好家が多いと思いますが、それでも規模は小さいです。これと、日本の柔道を比較してみます。柔道の最高段は十段です。しかしオリンピックで金メダルを幾つも取るような人ですら、四段、五段ぐらいです。黒帯を絞めるのがこの段位です。自分自身が成長しただけでは、それぐらいの評価しかなく、教育者としてどれぐらい貢献し、人材をどのように輩出してきたかで、段が上がっていきます。十段は、歴史上数名しかいません。ある十段、赤帯の方は欧州へ渡り、そこで柔道文化を定着させた功績が認められています。それで今日、欧州の人でも金メダルを取る場合がありますが、このように他国を育てた功績は大きく評価されます。中国ではこういう考え方がないこともないのですが、まだ少ないと感じられます。そもそも二胡を国際的にしたいと思っているのは中国の方で、それなのに海外の活動は評価外になっているのは矛盾していますが、こういうことを言い出すとキリがないのでほっておきましょう。私個人の見解としては、日本で教育を行っている老師たちに対して、もう少し地位を高めて貰いたい、という願いがあります。具体的には、日本や他国の情報が中国では非常に少なく、日本でのリサイタルの実況放送などは、まだ見たことがないです。このあたりの見方は、中国人と日本人の考え方の違いかもしれず、特に差を付けているわけでもないのかもしれません。そもそもこの中国の評価システムに違和感を感じるというのはあると思いますが、まずは民楽を中国国内で保護するのがたいへんで、それで精いっぱいというのはあると思います。これはどこの国も似たような状況ですが、中国は中国なりのやり方で保護しているということだと思います。

 中国国内のCD屋に行きますと驚くのが、西洋のクラシックと中国民族音楽の2つが売り場の9割以上を押さえ、他のポピュラーなどは肩身が狭くなっていることです。(決して人気がないことはありません)オリコンみたいなものもありますが、そういう客層はCDを買わないようです。ダウンロードできますからね。中国民楽コーナーは、いつも顧客が多いので、日本伝統芸能と比較すると驚きます。テレビを見ても、中央テレビの音楽チャンネルは、民族音楽、伝統戯劇が非常に多いです。この人気の維持は、多数のタレントを擁しているから可能なのだと思われます。この人たちは国家に保護されています。それでも若い人は、民族音楽から離れる傾向があるようです。新譜の発売は民楽は少ないので、今後衰退する可能性があるのかと心配です。

 楽器を学びたい中国人は、西洋管楽器を手にする場合が多く、親は子供に管をやらせたがります。これは軍で需要があり、軍籍は特権階級なので有利な職を求める意味合いがあります。弦は、相当上位であっても良い立場を得るのは難しいので、学習者は少ない傾向があります。日本人はこの事情と関係がないので、二胡人口は少ないながら、学習者(「自分は生徒である」と自ら言う人の人数)は中国より多いのではないかと推測されます。中国の老人と女性も、どちらかというと職業とは関係なく、そのためこれらの方々の二胡人口は多いです。中国の若い男性の二胡奏者は、非常に少ない印象があります。




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