中国音楽の再生と録音 - 二胡弦堂


 録音の再生は、生演奏ではありませんから再生されたものが必ずしも真実とは違っていても問題にはしないものです。人類は再生技術の初期から、再生装置にしかない魅力を追求していきました。録音とその再生に"魂"が宿っているかどうかということが重要で、音そのものの忠実さも重要ではあるものの、より重要な点があると考えられていたからでした。しかし再生には「モニター」という分野もあり、原音再生が非常に重要になってくる分野、レコーディングスタジオや放送局で必要とされる、音の美しさよりもリアルな生が必要という現場もありました。この2つの方向性は時代を経るごとに混じり合うようになり、良い部分を積極的に採用する方向で、モニターでも特性がフラットでないものも出てくれば、コンシューマー用でもフラットを売りにするものなどが出てきました。しかし最も重視される部分というのは国や文化によって変わってきます。中国の場合は"毒"です。録音でそれが伝わるかというところが重要になってきます。最近のmp3はどうでしょうか。もちろんCD品質である方が良いのは確かですが、今どきのmp3で毒が感じられなくなるということはもうないと思います。昨今の視聴環境ではパソコンは必須でiTunesやアマゾンから音源をダウンロードしたり、YouTubeで動画を見るといったようなことがあるので、従来のオーディオというのはあまり使わなくなってきています。しかしパソコンだけで聴くのは我慢ならないということで「PCオーディオ」という概念が出てきたりしています。それもいい加減嫌になってきてLPレコードの生産が増えているといったような回帰現象さえも見られます(もう今やYahooのトップページからしてそういう内容が出ていたりします。本稿の準備のためにいろいろ検索したからマッチング広告が出ているわけですが、それにしてもレコードとは!)。次いでカセットテープの再生産が始まったりしています。それぐらい音楽再生というのは難しく、多くの人が何がしかの不満を持っています。そういう環境のところへ中国音楽となると尚更難しくなってきます。そうすると中国音楽の本来の表現とはどういうものなのか学ぶのに支障が出てきます。きちんと再生されたものから取り入れることのできる情報量は全く違うからです。そこで視聴環境の整備ということを本稿で考えることにします。一口に視聴環境と言っても大まかに2種類ありますが、ここでは3種類で考えたいところです。

  1. ライブ
  2. 鑑賞
  3. 楽曲分析



 図はある有名音響メーカーのWebページに記載されているPCオーディオの構成図を本稿用に少し手を入れたものです。この構成を採るというのは、音楽を聴く、録音する、ライブで拡音するのにパソコンを使う場合です。録音する時はアンプの位置にマイクアンプかミキサーが入り、スピーカーの位置にマイクが入って逆の流れになります。拡音(パブリックアドレス、略してPAと言います)は両方必要です。インターフェースにマイク、スピーカーそれぞれのアンプを繋ぎます。録音する場合はパソコン内にDAWというソフトが必要です。PAだけ考えるのだったら、スピーカーの中にアンプが入っていて(パワードスピーカーと言います)そこにマイクも刺せば良いという簡単なものもあります(ギター用のパワードスピーカーは慣例で単にアンプと言います)。録音も最近はマイクについているUSBで直接パソコンに繋ぐというものもあります(このタイプはマイクの中にマイクアンプが内蔵してあります)。ミキサーがあれば、後はマイク、パワードスピーカーだけでもPAができます。しかしここではとりあえず上図のいささか重量級の構成ですが、これを把握しておいて下さい。もちろん、より簡単なシステムで目的を達成できるのであればそれで良いし、実際音も採れるし出るしで、全く問題ないだろうと思います。しかし「毒は出るのか」というところの、中国音楽の適切な出し入れの解決に向うと、割と市場で普通に手に入るものだけではうまくいきません。またさらに我々演奏する人種は、自分自身の演奏だけでなく、他人や過去の巨匠録音を分析することもあります。その時の音は観賞用とは異なっています。共通で使える面もあるのですが、概念はだいぶん違います。

 ここまでが大まかなイントロダクションです。ここから先は、中国音楽への対応とそれ以外のこと、知っておいた方が良い事柄について扱います。




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