宜興紫砂壺について
昔から江蘇省宜興の陶器が最高の茶器として珍重されてきた理由は、その制作に使われる"泥"にあります。これは「紫砂」と呼ばれており、1tの岩石から約1kgしか採取できない貴重なもので、これには高嶺(カオリン)と呼ばれる鉱物が含まれています。それが熱によって遠赤外線を発し水質を変化させることによって、お茶をおいしくします。紫砂は鉄分の含有量が高いため堅く、ロクロで作ることができず、棒でたたいて制作する「たたら製法」と呼ばれる方法で仕上げられてゆきます。このように作られた茶壺は表面に無数の気孔があり、液体は通さないが蒸気は通過させるという特殊性があり、これが茶の渋みや雑味を吸収するとされています。しかし、近年では良い泥が手に入らなくなってきたため、市場に出回っている多くの茶壺にはその効果は期待できません。そのため、注意深く探す必要があります。
「紫砂」には、色によって朱泥,紫泥,段泥に分類されています。段泥は黄色っぽい色をした仕上げで採掘される量が少ないため、あまり製品の数も多くありません。朱泥は鉄分が多いため採掘が困難で、そのため高価になりがちです。しかし、緑茶や烏龍茶を淹れるには最適ですので最も求められているものです。胎が薄く高温で焼成されたものは特に適しており、豊かな香りを引き出すことができます。紫泥は宜興紫砂壺の材料としては一般的なもので、よく見かけられます。胎の厚いものは雑味をよく吸収し保温性も高いのでプーアール茶などに使われます。紅茶、岩茶にも適しています。
これら紫砂壺は、より使い込むことによって、もっとおいしくお茶を淹れられるように育ってきます。これを「
養壺
」(ヤンフー)といいます。こうしてお気に入りの茶壺を養ってゆくのもいいものです。
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茶壺
(左の写真,上)
宜興で最も高価な類の紅泥を使用して恐らく日本で製造された薄胎の茶壺です。珍しい素性のものです。ある静岡茶の専門店が煎茶用に特注したものの1つです。中華民国時代の福記というメーカーの写しです。高温で焼かれて表面が磨かれているため光沢があり仕上がりそのものは宜興というより常滑焼のような感触です。緑茶用ですが烏龍茶もうまく淹ります。
(中)
古典的茶壺の写し(倣古)です。現代の宜興作家による紫泥を用いた梨型壺でプーアール茶を淹れるのに使っています。
(下)
台湾茶を淹れるのは台湾産茶壺がいいと言う人もいます。これは台湾の作家もので10年ぐらい前には新進だった人のものです。台湾の泥です。台北郊外の
鶯歌
というところで製造されており、ここにもいいものがたくさんあります。
台湾茶壺の動画