鳳凰単叢鴨屎香と杏仁香2019年 - 二胡弦堂


 2018年潮州春の新茶は、蜜蘭香を購入致しました。在庫が最後の1袋になり、春が近づいてきたので次の分を考えねばならないと思っていたところにちょうど2019年の新茶が出ました。そこでまた新茶から選ぶことになって以下の通りとなりました。同じ蜜蘭香を購入して年度による違いを見るというのも面白いとは思うのですが、とりあえず今年は少し変えてみました。

  鴨屎香 50g ¥2,800
  杏仁香 50g ¥2,800

 去年の新茶は4月半ばでしたが、2019年は3月半ばとかなり早くなりました。成長が早かったとのことで、しかも収穫が迫ってきた段階で雨雨雨…という状況、変化の激しい山の天気の晴れ間に収穫を急がねばなりませんから親族総動員での突貫作業となり、しかしながら送られてきた映像は長閑な光景ではありましたが、確かに多人数で進めている様子が伺われます。潮州での新茶の主な需要としては、お土産に外地に持っていくというもので、潮州では普段民間に流れている茶の質は高いので敢えて自分たちで新茶を求めるというよりも礼物になるべく良いものをという、そういう趣旨で購入されることが多いとのことです。主に、ということですから市民の中にも楽しみにしている人はいるでしょう。

 この茶荘は新茶に関しては去年も今年も4種同じものを製造し、去年購入した蜜蘭香,この価格を1とすると、芝蘭香1.35,鴨屎香と杏仁香1.7の4種があります。価格は違いますが質に差があるということではないので、どれも横並びと見做してよいでしょう。蜜蘭香が標準という扱いだと思います。

 この茶のグレードについては、どういう位置付けのものか説明しておかねばなりません。弦堂の考えとしては普段飲みにそこそこ良いものが長期的には良い、高級茶は僅かな差で倍々に高価になるので礼物ならともかく普段飲みには負担が大きいということで、普通日本茶を選ぶ時にもそうすると思います。スーパーに売っている茶の質が悪いということはありません。その観点からは去年の蜜蘭香の新茶は高級過ぎたのではないかということになります。こういうものではなく普通に潮州市民が淹れているもので何ら不満はありません。しかし新茶となると、その単語の魔力を前にしてはどうしても興味を抑え難いものがあるので、同茶荘のもうちょっと贅沢なものもどうかという、当初の方針とは違いますが、やはりそういう方向に行ってしまうのです。これぐらいの価格になってくると古茶ですら買えるし、それ以上となると極めて限定された株になるので、特別なものを省いた一般的範囲ではこのあたりが最高になります。こういうものを今後も買い続けるのが正しいのか、難しいところですので、向こう1年じっくり考えたいところです。本来は普段は市民級の茶で過ごし、その購入者に年一回新茶を紹介という潮州方式が理想的です。ただ価格面では、新茶は20杯を超えてもまだ口の中にフルーティーな香りが感じられるし、一方で安価なものでは10杯もいかなかったりするので、どれがコストパフォーマンスが高いのかはわかりません。安価なものでどんどん茶葉を交換するのを好む人はいるし、他方、ゆっくりと枯れていくのをじっくりと楽しむのを好む人もいます。質はどちらかというと薄くなってきてからの方がはっきりわかりやすいのではないかと思います。上品でスッキリした白湯を得ようと思えば自ずと茶葉の質は必要になってきます。それでも慣れてくると細かいことはどうでも良くなって皆、安価な方に行きますね。

 パッケージに関しては去年と同じでオーダーしましたが、これは茶荘からクレームが来ました。「我々は潮州首家老字号である」潮州随一の老舗であって、他と一緒にして貰ったら困る、質が違うと言いたい放題で、茶荘を表記したものを販売してくれとのことでした。どこの販売店でも同じようなことは言うんです。言うことを聞いていたらパッケージは茶荘主導で随分変わってしまいました。このように缶が付属すると送料が高くなる問題がありますので去年は断ったのですが、あんまり言うので好きなようにやってもらいました。中身は透明の袋で何の表記もありません。缶は日本の基準では新品ではない、しかし大陸では確実に新品なのですが、そういうものなので、もし不要の場合は缶を発送せず、薄く伸ばして安価な送料で送ります。他にもご注文品があれば状況によっては缶のまま発送しても問題はないと思います。鴨屎香についてはしっかりしたラベルに仕上がっていますが、杏仁香はなかったようで手書きしています。これは子供に書かせましたね。子供に漢字の練習をさせる、よくあることです。しかし子供は漢字だけでなく商売もこうやって憶えていきます。「よくできました」と言われておこずかいを貰います。

 ほうおうたんそう
 やーしーしゃん
 しんれんしゃん









 潮州で茶を捜索した結果、良かったものが下の2種なのですが、間も無く新茶が入ったので販売を取りやめて自分で淹れたり、友人に贈ったりしてそれでもまだ少し残っています。これは潮州人が普段淹れているものとしては高級な方です。市内で出回っているものはもう少し安価なものが多いです。その安価な方はおそらく購入することはないですが、これも決して悪くありません。弦堂個人はこの安価なものでも不満はありません。本当に茶文化が根付いているところでは普通の現象で、四川あたりに行きますと安いジャスミン茶で全然十分だったりします。日本だと普通に売っている日本茶で十分なのと同じです。ほとんどの市民がこういうものを毎日飲んでいます。しかしこれぐらいのクラスだと少し良いものの方がわかりやすい面があります。それで本来であれば、この下に掲載しているあたりのものを販売する方が良いと思います。よろしければ、新茶の方と比較していただければ。


清黄枝香单叢 100g ¥2,000 完売
清香单叢   100g ¥2,000 完売



 品質というものをもう少しわかりやすく表現すると、それはおそらく雑味の量なのではないかと思います。これが少ないと上品になります。しかし新茶ともなると、全てにおいて上回っているので、違いを分析する必要性もないのではないかという気もしないでもありません。しかし潮州市民はというと安価なものでどこが悪いのかという感じなのです。それでいて新茶ともなると盛り上がるし、古茶は年中販売されています。もちろん、茶をどう扱うかは十人十色なので一貫した何かを示せるわけではないのですが、潮州市内にしばらく滞在しているとある程度の傾向が見られるのではないかという気がしてきました。つまり新茶や古茶のような類は贈り物であるとか茶会、詩吟や音楽関係など文化的な環境では映えるが、家庭では必ずしもそうではない、雑味がある方がどんな菓子にも合わせやすいし、濃く出した時の強い独特の甘みは高級茶には望めないものがあります。良い悪いではなくて適材適所なのではないかという気がします。安価な茶は生産量が多いという理由もあるし、これはこれで普段はこれぐらいの方が、また繊細でないところがかえって良かったりします。本当に通になってくると、どんどん安い方へ行きます。酒好きはワンカップ、に共通するあの感じと思ってもらってもいいです。人間、意外と普通が一番です。だけど新茶など淹れると、やっぱり違うなと感銘を受けます。だんだんわからなくなってきます。それぐらい安価な茶の質が高い、文化がしっかりしています。潮州茶は相当な種類がありますので、他にもいろんなものが見つかるかもしれませんが、それぞれ楽しめれば良いのではないかと思います。




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