光舜堂琴弓 - 二胡弦堂

 

 東京・光舜堂製の琴弓ですが、以下長いので読まない方も多いと思いますので要約しますと、中国弓と比較して費用対効果や耐久性で優れています。難しい練習課題に取り組むよりこの弓に変えた方が手っ取り早い、演奏できなかったものができるようになります。はるかに長期に使えるのも利点なのですぐに二胡を辞めるかもしれない場合は勿体ないでしょう。どの福音弓が、ご自身には合っているのかというご質問にお答えして

 紅風は長さを変えられます。弓は短い方が使いやすく、1cm短いだけでだいぶん違います。77cmは初心者に適しますが、京劇はこの長さですし、自然とダイナミズムが得られます。ここまででなくても、できるだけ短めにしてみてください。80cmぐらいがちょうど良いかもしれません。80cmは有効幅がバイオリン弓と同じになるので何らかの道理があるのでしょう。

 オーダーをいただきましたら、どの方からご注文があったか西野さんにもお伝えしています。過去にご購入履歴があって、好みもあったりすると合わせてくれるからです。小店は西野さんは身内だと思っていますが法的には違うので、個人情報を守る法的要求上、皆様の名前を伝えるというのは問題がありそうです。それで「言わないで欲しい」という方がおられましたら注記を入れて下さい。公にするのはいけませんが西野さんに伝えるだけなので問題ないと思います。皆様の方でも毛換えなどそのうちあると思いますので、お伝えの方が良いと思います。言っておかないと、毛換えの時に「あなた誰?」とか、そういうことになるからです。それで気を遣うという程でもないですが、お伝えはするようにしています。



光舜堂福音弓・光風

南ロシア産白毛100%
¥ 39,600 要オーダー


光舜堂福音弓・舜風

南ロシア産白毛80%、カナダ黒毛20%
¥ 41,800 要オーダー

 在庫がなければ、1ヶ月程制作でお待たせすると思います。
 制作されました西野先生からのご説明がブログに掲載されています。
   福音弓・新弓のご案内!
   光風・舜風 追加事項!



 上は福音弓2種、光風は白毛、舜風は20%黒毛を混ぜています。下は長さを変えられる紅風、黒毛だけの黒旋風です。


光舜堂謹製琴弓・紅風

   ¥ 36,300 要オーダー


光舜堂謹製琴弓・黒旋風

   ¥ 33,000 要オーダー

 南ロシア産白毛が「紅風」、カナダ産黒毛が「黒旋風」です。毛5.5gは二胡で絹弦を主に想定(鉄弦でも良し)、7.2gは二泉、中胡です。しかし7.2gでも白毛より少ないです。黒毛は弦への噛みつきが強いのでバランスを考えて量が決まっています。ですから5.5gは見た目、かなり少ないです。低音楽器も使う想定なら7.2gの方が良いかもしれず、一方5.5gもバランスの良いので選択できるようにしています。納期は1ヶ月ぐらいをみておいて下さい。

 最初に光舜堂・西野先生からの「紅風」のご説明です。長さは製作期間を頂いての特注オーダーで、約84~77cmの1cm単位です。どうしてなのか、どうして長さを変えるのかについて。

 紅風(くふう)というのは、ほぉさんの大好きな駄洒落を含んで、黒旋風と一対の名前です。ご注文により弓の長さを変えられます。(77センチから84センチまで、中には長いのが合うという方もいらっしゃるでしょう)皆さんが扱いやすい長さにできます。弓が長くなってきた原因というのは様々あると思いますが、長さがあるというのは一つには、弓の先端が重くなって、先端にまで、弓の重さをかけやすくなり、やたらに力を入れなくとも済むという事もあります。しかしその分安定して弾くには扱いづらくなります。そこを、くふう、して、竹の長さが短くなっても、弾力もあり先端の重さも、十分にあるように作り上げたのが、このくふう(紅風)です。



 標準は83cmです。そこをもう少し短くするというのはどういうことなのでしょうか。

 ほぉさんと話し合っていて、みなさんの中には、現在の83センチの弓を持て余している方もいらっしゃるのではないかという話になりました。昔の弓は短かったです。私が二胡屋を始めたくらいの10年前でも、80センチくらいの弓というのはかなりありました。中には77センチくらいのも。それがいつの間にか、83センチが標準になってきています。それが何故かという考察は次回から長々と書きますが、現在身長178センチの私でも、83センチの弓は弾くという事を前提に考えると一杯の長さです。もちろん体を倒せば、先端以上にはどなたでも届くとは思います。しかし体を倒すという事で不安定にもなります。もちろん体全体を使ってと教える人もいますし、そのほうがウエートを乗せやすいかもしれませんが、体全体を使ってなおかつ安定して弓を弾くというのは、相当な訓練が必要ですよね。それらの事も含み、弓自体の重さで力を入れずに弾けるようにしてきたのが福音弓です。

 そこでさらに進めて、みなさんの体に、あるいは手の長さに合わせた弓作りも必要なのではないかと考えました。弓は短くなると、弾力も弱くなり重さも少なくなります。弓の重さと弾力で弾くという事からは外れてきてしまいますね。このあたりの事があったためなのかもしれません、弓が長くなってきた理由の一つだと思うのですが、長さが長くなればなるほど扱いづらくなります。そうなると余分な力を使うことになります。良い音を出すための安定した運弓というのがしずらくなるのです。だからこそヴァイオリンなどは、子供用の弓というのがありますね。(二胡にもあるみたいではありますが)でもみなさんは子供ではないのですから、それでも手の短い人、身長が140センチ150センチの方は、たぶん私とは腕の長さでも、7,8センチくらいは違うのではないでしょうか。この1年半、ある方の依頼で短い弓を作り続けてきまして、短くなった時の弓の弱点、そのことも解決出来てきました。短くても長いものと変わらない弾力と重さを付けられるようになったのです。1センチ単位で長さが変えられます。77センチから、最長84センチまで作れます。これは長いのが良いと思う方へです。ご注文により1センチ単位で作れます。


 演奏者の体格はそれぞれですのでちょうど良い長さの弓の方が使いやすい筈です。大陸では子供用の弓は見かけません。しかしネットを見ると割と売っています。教育熱心な親が買うのでしょうか。通常は83cmを子供にも使わせますね。ですから楽器街で子供用を見かけることはありません。ですがおそらく彼らは長い弓を扱いにくいとは思っているでしょう。腕の長い人でも短い弓は結構楽です。特に自宅での練習では短い弓の方が使いやすいかもしれません。もちろん屋外でも構いませんが。次に、使われる馬尾についてのご説明です。

馬尾の比較  右がイタリア産、 真ん中が南ロシア、 左がモンゴルです。

 ヴァイオリンの弓を現在の形に作ったのはフランシス・トルテだと云われています。そしてその当時、擦弦楽器の弓に最適な馬毛は、一説によると、南ロシア、北モンゴルの辺りの馬の尻尾の毛だったようです。馬は、原産地はアメリカだと云われていますが、氷河期の頃に絶滅したようです。その後、シベリアや南ロシアの辺りに残った馬たちが、スキタイ民族などにより馬車や乗馬用として次々と改良されていきます。走ることや運ぶということが目的だったのでしょう。サラブレッドが良い例のように、ある目的のために次々と改良されたりしてきています。まさか擦弦楽器の為だけに改良されたのではないと思います。現在でも皮製品や食用としての需要の方が主であり、それらの副産物として尻尾も販売されているようです。中国のように消耗品としての二胡の弓が、それこそ年間、数百万本作られているでしょうし、世界中のヴァイオリン属の弓毛にしても、同じくらいには張り替えられているとはいっても主要製品では無いようです。現在、擦弦楽器の弓毛の主要生産国は、中国とカナダでしょう。中国と云っても、その産地はほとんどがモンゴルです。そして、その中にはモンゴル馬だけでなく、様々な地域の馬の種類が入っているようです。中国の生産者それぞれに、入手ルートを持っているようですね。イタリア産の馬毛が良いと云われるようになったのは、どうやら20世紀も半ばのようです。イタリアの北の方で改良された馬の毛がとても強くしなやかである、という事で使われるようになってきたのだと思います。このイタリア産の馬毛、日本にはそれほど入って来ていません。馬毛屋さんだけが現地に行っても馬毛だけを買えるわけではないそうで、皮屋さんや肉屋さんと一緒に行かないと入手が難しいとの話を聞いています。さて、そんなイタリア産の馬毛。強くて、そして華やか。それがイタリア産の馬毛を張った弓の音色の感想です。摩擦も強いですから、小さく弾いても音がきちっと出て来る、大きく弾けば実にパワフルに響く、それがイタリア産の馬毛の特徴です。毛の質そのものがとても強く、耐久力もあります。よく言われるのですが、光舜堂の福音弓は、ほとんど毛が切れない、切れてもせいぜい年に1,2本、強いですねと。これは確かにそうです。南ロシア、モンゴル産の馬毛としては比較的脱色も少なかったり全く脱色していなかったりする馬毛を使っていますが、これは一重に選別にもよるのです。弱い毛やよじれれた毛、枝毛などを取り除いてあるためもあるのです。これはほぉさんの努力です。しかしこのイタリア産の馬毛、ほとんどその選別をする必要がないくらいに均一に強いです。しかし問題は高額なのです。通常の馬毛ですと、ヴァイオリンで使う80センチ前後の長さの馬毛は、平均で毛替えは8,000円前後なのですが、たぶん皆さんが、ネットでヴァイオリンの馬毛の交換でイタリア産の物を調べると、高額なところは、張替えだけで30,000円、比較的安いところでも1万5,6千円しているはずです。この金額がなぜこんなに違うかと言いますと長さのせいです。以前書いたと思いますが、馬毛一頭から採れる量は350グラム前後、その中で擦弦楽器の弓に使えるのは15%くらい、そしてその中でも90センチを超える毛はかなり高額になります。ヴァイオリンの弓は、有効で64センチくらいです。馬毛の先端の細いところを取り除くとして、最低でも80センチくらいは必要なのです。そして馬毛は長くなればなるほど強くて太いのです。そして少ないですから高額です。その90センチを超えるものは3%もないでしょうか。ですから長いものを使うと高くなってしまいます。ですからヴァイオリンの毛替えをする職人さんが、どのような選択基準で馬毛を仕入れるかによって金額が変わります。ところが二胡の場合、有無を言わせず90センチ以上必要とされます。したがって、ヴァイオリンの弓毛などよりは高額になってしまうのです。ヴァイオリンの弓は、プロの人たちは普通半年に一回張り替えると云います。その方達でもイタリア産だと1年以上は張り替えなくて済むそうです。そのくらいに強いのですし、ただ強いというより毛自体がとてもしなやかです。ヴァイオリンを弾く人たちの中には、イタリア産は好きではないという方もいます。強すぎると。ヴァイオリンに繊細さを求める方は特にそうですね。でもこれは張り方にもよりますし、棹の強さとのバランスにもよるのです。何種類かのグラム数に分けて、4本ぐらい作って、数名の二胡の奏者に弾いてもらい、毛の量を確定したりもしています。この豪華な華やかな、そして、弦に吸い付くような、イタリア産の馬毛の音色楽しんでください。来年には、まとまって入手できると思います。その時には、イタリア産の馬毛を活かした、新作弓を作ります。今、ほぉさんに名前考えてもらっています。


 ですが、紅風は南ロシア産を使います。原点のクラシカルなサウンドです。長い毛を使います。中国では90cmぐらいのを使いますが、紅風は95cmを超える馬尾です。馬毛は長くなればなるほど太くて均一に近くなります。強くてむらがなく耐久力もあります(しかしこれらは大変数が少ないのですがヴァイオリンの人たちには好かれていないようです)。これを二胡の弓にしてみたところ、とても安定感のある弓が出来ます。無脱色の南ロシア産、二胡にはこちらの方が合うと思います。


 黒旋風は黒毛を使います。これがまた甘い音がします。特に絹弦にぴったりです。低音楽器にも合います。また古い二胡にもかなり合います。新しい二胡には合わない気がしますが、世の中、器用な人はいるもので平気で使う人はいますね。昔はと言ってもそれほど前でもありませんが、二胡弓で黒、真っ黒ではないので栗色と言いますが、一般に普通に販売していたのです。これがいつしか無くなったのはどうしてかわかりません。光舜堂で使っております毛は黒で、これは西洋ではコントラバスに使う高級なものです。黒というのはほとんどなくて、普通は茶色なのです。黒は弦への噛み付きが良いです。ですから太い絹弦にはぴったりです。

 黒旋風は、絹弦を弾くために昔に戻って黒毛の弓を作りました。コントラバス用のカナダ産の馬毛です。強くてなめらか、絹弦を弾くととても甘い音になります。現在のスティール弦に変わる前は、みなこの黒毛で弾いていました。今まで弾きにくいと言われていた絹弦をこの弓で弾くととても弾きやすくなります。その強さを利用して、低音二胡にも使えます。低音二胡用の弓というのはあまり販売されていません。ぜひ試してみてください。光舜堂では、数年前から嵐風という、低音二胡用の弓を作っていましたが、このカナダ産の馬毛を手に入れることで、それに十分対応できると考えまして、嵐風は廃止します。ですから、嵐風の毛の張替えをご希望の方は、この黒旋風の黒毛に変わります。その時には竹の方も更に進化した改造ができますので、ご相談しながらやりましょう。が勿論そのままが良いという方には、同じように毛替えすることもできます。ただしこのカナダ産の黒毛の方が少し安くなります。

 弦堂は最初、絹弦の販売からでしたが、当初から絹弦は演奏しにくいとのことで挫折された方が多くおられました。小店は専門の販売店なので、そのあたりの事情は十分にわかっていなければならない筈ですが、正直なところ、今だにどうしてこうなるのかわかっていません。その初期の頃に知り合いから、絹弦の扱いにくさについて苦情があって「あんたはどうしているのか」「何もしてませんが」といった話があって、それからまもなく彼は来ました。それで少し擦って見せ「ほら、何か問題がありますか」「ありませんね。なんでだろう」「あなたがやってみてください」彼は頑として拒否したので原因は究明されませんでした。10年以上経っていますが、今でもまだ絹弦でダメダメになった演奏を見せてもらったことが1度もありません。問題が絹弦でないことは間違いないし、弓も普通に使えます。ですからそこを黒旋風に変えたところで、劇的によくなるかというとそれもわかりません。白毛で普通に使えるという前提があるなら、黒旋風で劇的に良くなるでしょうが。思うに中華の音に対する概念の違いなのではないか、それは黒毛なら埋められるかもしれません。なぜなら現代中華のサウンドに違和感があったとしても、古い中華の音は好まれるだろうからです。頭で概念を持っていないとその音は出せないでしょうね。そういう意味では強く推薦できます。


 二胡は竹を使い、バイオリン弓は木材を使って作られています。ですからバイオリン弓は非常に繊細なものを作ることが出来、特注仕様のものさえあります。そこで中国の研究機関が木製の二胡弓を検討したことがあります。ダメだったそうです。それで竹に戻って現在に至っています。竹はありのままです。これはしょうがないです。無理なので木製に挑戦したわけですから。これが結論だと、そう思っていたところに光舜堂がそれは間違いだという。しかし中国の結論も間違っているわけではないと思います。なぜなら竹で作るとあまりにたいへんなので時間と手間がかかるのです。そこを行くのか?というところで日本だったら行くけど、大陸は行かないということだと思います。ほぼ完成品を見ると、それが上の写真ですが、見覚えのあるシルエットです。「これ、バイオリンの弓にそっくりですね。もしかして・・」と伺いますとやはりそうでした。材料が木と竹の違いはありますが、工法は非常に似ています。

 中国弓は天然竹のままなので、挙動が予測できないところがあります。演奏者の意図とは違う挙動があります。ほんのわずかな違いで変わってきます。ということは演奏するたびに毎回違いますということで、同一曲内の同じフレーズを繰り返すでも奏者がメリハリを付けなくても天然で勝手に彩られます。恣意性を省く、そこが良かったのです。もちろんこれは非常に細かいレベルの話で大筋では奏者の意図通りになるのは言うまでもありません。光舜堂では違います。完全に奏者の腕の延長になります。あらゆる繊細な表現が可能です。哲学が違います。そこで改めて比較すると、挙動不測は良くないのではないか、ライブをされる方なら体験されていると思いますが、その時のオーディエンスで演奏がすごく良くなることがありますね。こういう予想不測は結構ですが、直に指で掴むものから挙動不測は如何なものか、演奏作品というものを作っていく上で挙動は毎回違いますでは困るのではないか、当たり前だろうと言われそうですが、しかしこれはこれでそれなりの魅力があったのです。長くやっていると完全い意図通りに奏するのが良くなってきそうで、そのために木材に変える研究もあったのだと思いますが、中華の有る意味ゆるさにも対応となると竹になるのだと思います。そもそも我々が中華と認識しているものは近代以降のものです。昔は製品も世界最高で、アヘン戦争の遠因にさえなったぐらいです。古い演奏、古いタイプの演奏を聞いていると昔は挙動不測はなかったのではないか、ここまで言ってしまうと中国弓は全然駄目なようになってしまいますが、そんなこともありません。そうでないと、今までの我々は何だったのかということになります。だけどそうなりかねないぐらい全然違うとも言えます。見え方が全く変わってきます。

 弓作りだけに専心して二胡も作らないという状態で月産40が限界で、それもたいへんだとのことです。たまに休んでも30ぐらいの生産量です。毛が中国弓の数倍は保ちますので、毛を張り替えることはなかなかなさそうですが、張替えして長く使う前提で考えて下さい。張替は光舜堂に直接でお願いします(以下税別)。竹の再調整もしていただけます(これは無料かと)。毎日4,5時間練習する方で3年ぐらいを目安に保つとのことです。毎日8時間の酷使でも1年はいけるだろうということです。毛の価格が安定していれば、南ロシア産で11,000円で想定しているとのことです。モンゴル産は9,000円、カナダ黒毛は入荷できるか不透明です。入らなければ別の産地のものになります。