二胡用琴弓 - 二胡弦堂


  弓(馬尾のみは除く)は2把購入いただいた場合は1500円引、3把以上は把数x1000円引になります。送料の関係です。到着時間指定も併せてご連絡下さい。

二胡弓の選択については
  弦堂で使っている二胡弓の品質や規格、グレードについていろいろ・・を参照下さい。

経済発展する中国での弓の在り方について中国で販売されている弓の価格というのは今世紀ほとんど変化がありませんが、中国で社会問題になっている急激なインフレで信じ難い物価高をもたらしている昨今の現象と比較すると、楽器弓の値段が上がっていないのは奇妙な現象です。どこの国もそうですが伝統芸能は衰退しているのでコストの圧力は日増しに高まってはいても対応して値段を上げることはできません。これが1つ、もう1つは顧客の趣向の変化です。弓の長さなんてものは少しの違いぐらいはっきり言ってどうでも良いことですが、5mm長いか短いかぐらいの本当にどうでも良い差異を指摘して不良品扱いするというこれまでにはいなかったタイプの顧客が中国でも増えており、このことが制作を取り巻く状況を変化させています。手工品よりコンピューターで削った方が完璧だから好まれるという傾向についてはかなり以前からありましたが、そこからまた一段深化した状況になってきていると思います。昨今では知識はそれなりにネットで仕入れられるということが、これも良し悪しで、その過程で自分は知識が十分にあると勘違いした人がプロに、名工にさえも偉そうに口を利く事例が増えているという憂慮すべき状況です。大衆とか消費者の立場の人々に対して、買ってもらう制作側が逆らうのは難しく、市場のこれまでの在り方を変化させています。この2つの現象がもたらしているものは、品質下げても外観良し、素人受けする安定性、個性とかこだわりは論外といったような事柄で、誠実な頑張りも年々限界がきています。この状況が基本になっているという前提で具体的にどうすべきかということを考えておく必要があります。馬尾(毛)は消耗品で交換できるのでまだ良いですが、弓棹は世の中の傾向が安定に向っており、昔ながらのより自由な、下手に扱うと暴れてコントロールを要求するような弓は絶滅危惧種になってきています。実はうちでも古い弓棹は全部保管してあり、修理までするぐらいです。うちは業者なので幾らでも安く新品が買えますね。それでも過ぎ去りし感性で作られた弓棹は貴重なので大事に持っているというぐらいです。弓なんてものは棹も含めて消耗品でしたが、今後はそうではなくなってくるかもしれないということを意識する必要があるように思います。そうするとバイオリンみたいに毛の交換で気に入った弓を手入れするということが考えられます。そこでもう中国市場では毛の交換キットが出てきたりしています。2014年ぐらいから出てきたと思います。既製品の弓が気に入らない人が多くなってきていることを示しているように見えます。毛の質なんてものはわかりにくいのでお家芸の騙しとゴタゴタも発生するなど、それぐらいの活況です。そこで以下に販売している弓も含めて市場全体の弓に対してこれまでとは違った見方をしなければならなくなってきています。棹と毛の品質を一体で販売しているのでどちらかに問題があってはいけないのはもちろんですが、それでもこれまで以上に棹の方を重視する方向で観ていくことになりますし、交換毛の方にも注意しておかないといけません。毛の交換は自分でやりますので、これも二胡奏者に必要な技術の1つになってくるのかもしれません。ご自身が初心者であっても、いつまでも初心者ではありません。現在良いと思っているものは数年後には要らないかもしれません。弓の場合は特にこういうことがあります。気に入らないからといって捨てないことはもちろん、専門家が好むとされている弓はすぐに使わなくても将来の自分のために仕舞っておくということも必要になってきていると思います。弓なんてものは元来めちゃくちゃに使ってOKだったですが(うちでは安物ばかり使っているもので・・)、今後は振る舞いを改める必要がありそうです。



二胡琴弓用馬尾


       ¥ 9,000

 内モンゴルの限定された地域の馬尾です。これぐらいになってくると中国では普通に高級弓を買った方が安いぐらいですがそれでもこれを扱うことにしました。まず黒い伸縮チューブを竹棹に通します。毛の先は固めてあるのでそれを弓の先の穴に通します。この穴に松脂の粉を入れておくと尚良いです。折り返してビニール糸で千斤と同じ要領で縛り伸縮チューブを被せてライターで炙って締めつけます。注意点は弓魚の位置と張り具合のバランスでご自身の好みで調整する必要がありますのでここが無頓着であれば張りが硬過ぎたり緩過ぎたりします。弓の長さは最長84cmまで対応しています。毛を通す穴は直径5mmぐらい必要です。それ以下の場合は毛を少し減らして入れる必要があります。

馬尾



王小迪(wang-xiao-di)二胡琴弓 湘妃竹(xiang-fei-zhu)


王弓 湘妃竹二胡弓 黒檀
   ¥ 10,000

 王氏二胡弓の最高グレードのものです。外観が美しいので中国ではテレビ出演で女性演奏家が使っているのを見かけることがあります。

 現在入荷しておりますものは弓魚配件が黒檀材のみになっています。銘は印鑑のようなものではなく、筆記体の漢字が彫ってあります。外観の違いだけで音には変化はないと思います。

二胡弓を作る王小迪  いずれも節は2,3あり、比較的柔らかい特徴があります。太さはバラバラなのでご注文の時にご希望があれば太めか細めのご指定をいただくこともできます。太さも均一ではないので計って選別というのは不可能です。大ざっぱな感じで選ぶしかありません。細いものはしなりが強く、表現力はありますがテクニックが要ります。太いものは運行が安定し演奏しやすくなります。

王弓 梅鹿竹二胡弓 先端部  "王小迪"という牌子(pai-zi)、或いは、人物名については中国では津々浦々にまで知られています。知らない人を見つけるのが難しい程です。田舎の人ほど知っているという特徴があります。全く音楽に興味がない人でも知っています。
 中国には「老子号」(lao-zi-hao)というものがあります。これは100年以上看板を保っている牌子(ブランド)に対して中国政府が与える特別な称号です。看板に老子号と記す特別な許可が与えられます。今は(2011年)なので、すべての老子号は清代以前より営業していることになります。木製で歴史を演出した趣のある看板を掲げることが多いです。とりわけ北京の老子号は中国人の憧れであり、前門あたりに集中している本店や総店は観光スポットになっています。全衆徳(北京ダック)、六必居(漬物)、東来順(しゃぶしゃぶ)、内聯昇(履物)、瑞蚨祥(絹)、王麻子(刃物)、同仁堂(薬)、吴裕泰(茶)などです。これらは京都(北京)の伝統的牌子、かつて宮廷御用達だったものとして華やかな印象と共に愛されています。
 王小迪は老子号ではありません。しかし中国最高の牌子の1つとして知られています。そして京都の牌子として・・。最近、下の写真のように印鑑のような意匠が出てきましたが、そんな中国人の文化を愛する思いが詰まった品として観賞してみてください。

王弓 湘妃竹二胡弓 赤文字 蛇木
王弓 梅鹿竹二胡弓 全体



王小迪琴弓 張鋭特製


王小迪二胡琴弓張鋭特製1
  紅竹  ¥ 11,000
  湘妃竹 ¥ 13,000

 王小迪(wang-xiao-di)が張鋭(zhang-rui)のために特注した胡弓用弓です。張鋭についてはこのリンク先の下の方も見て下さい。

王小迪二胡琴弓張鋭特製 先端  長さは約83~86cmあります。二胡から二泉胡、中胡弓まで使える規格です。しかし張鋭は二胡に使うために発注しています。ただ3cm違うだけで特に他に変わるところがないので、自然に任せる形で素材を使っていく考えのようです。最大の特徴は馬尾です。1/3花毛(黒毛ではなく茶色)、2/3栗毛(白毛)です。弓魚も丸(月)と判のものが混じって入荷しています。

王小迪二胡琴弓張鋭特製 毛  一般に絹弦における粗弦の演奏では黒毛の弓が使われます。うちでこれが1つ壊れたので王女史に注文いたしますと、女史は新製品を作って見せるので待つようにということでした。そこでしばらくして指定の日に行きますと出来上がっていた弓がこれでした。張鋭は白毛だと甘すぎて良くないというので、王女史が幾つも弓を作り最終的に選ばれたものがこれなので、あなたも気に入るだろう、ということでした。しかし張鋭はスチール弦を使っているので絹弦にも合うのかという心配があります。実際に使ってみると全く問題はなく、低音楽器の発音に以前から疑問をお持ちだった方はこれで納得するのではないかと思います。たぶんこれを使うようだと白毛の弓は要らなくなると思います。

 これはそのまま二胡にも使えます。穏やかな流れの曲の場合に使うことを想定しているようですがどんな曲でも問題なく拉けます。ただ、新しい蛇皮の二胡には、かなり高い確率で相性が悪いです。雑音だらけになります。ところが、これまで白毛の弓で拉いてきていたものがだんだん二胡が古くなるに従って駄目になっていくという場合は、この弓に換えると非常に美しい音を出すようになります。この弓は完全に"黒"毛ではないものの、その特徴は一般の弓と比較して、白黒ぐらいに対称的です。これまで白毛の弓で何の不満も感じなかった場合は、この弓に手を出さない方が無難です。この弓のカリッと香ばしい音は新しい二胡では全く出ない場合が多いです。

 張鋭は白毛二胡弓について、音色は美しく繊細で多くの外国曲もこれで拉くに何ら問題はない、しかし哀愁に満ちた兰花花, 二泉映月などのレパートリーでは音色が不足し表現しきれないと言ったということです。そこで王女史は数度張老人の家を訪問し、幾つかの試作を経てこのバランスに落ち着いたということです。老人は 「不是我在拉琴,是琴在拉我」とおっしゃられたとか。色んな見方が出来ますが、道具が合わないとこういう心境にもなりません。それにしても90歳を超えられても新しい事柄に情熱的に取り組んでおられるというのは驚きますね。写真で記録に残っているのはいいものですね。この弓が評価されれば歴史に残ると思います。(追記:老人の箴言ですが翻訳すると「私が二胡を拉くのではない。二胡が私を奏でるのだ」)

王小迪と張鋭



王小迪琴弓 蒋風之特製


二胡大師・蒋風之
    ¥ 9,500

 棹は1把のみ白竹、それ以外は紅竹です。ご指定の場合はカートのメモ欄にご記入下さい。

 蒋風之(jiang-feng-zhi)がまだ存命中に王小迪に特注した特殊な二胡弓です。蒋は王を見いだした人物と言われていて、その後この2名は二胡弓を改革していきますが、その過程で出てきた弓の1種です。 蒋は録音も残っていますが古典的な演奏ですので、そのためには弓の形状も工夫したいというのはあったのかもしれません。

蒋风之特製二胡弓・湾曲  弦堂が王小迪の家で確認した時点では(注:これは"確認"でありまして、他人の家の室内を物色した訳ではありません。しかし室内は興味のそそられる環境であるのは否定できません。)確認時点では、蒋风之特注弓は1把のみ残っており、特徴としてはまず、竹が細い、馬尾が少ない、よって蒋の演奏は王女史の証言によると音量が極めて小さい、といったようなことですが、最大の相違は、手持ち部分の湾曲です。普通は縦に微妙なS字に曲げてありますが、これを横に曲げています。(左の写真を参照下さい。) このような湾曲であれば、弓の持ち方から微妙に変わってきます。鉛筆を掴むような感覚になります。現代的な演奏には合わないように思いますので、一般の教室でレッスンを受ける時には使わない方がいいかもしれません。特に型にうるさい教室では使えないと思いますのでご注意下さい。

 王女史の証言では、蒋风之はこの弓を使用して「漢宮秋月」を演奏し、まさに消え入るような小さな音量で演奏したということです。馬尾の量は150根で、一般の二胡弓の300根の半分ですが、今回作っていただいた物は200根と少し増量しているということなので、オリジナル程小さな音というわけではない感じで制作されています。

 王女史は「こんな弓は駄目ですよ」と言います。確かに現代二胡演奏の常識からは外れていると思います。しかしこの弓は美意識に対する観点が違います。「上手な演奏」と「美しい演奏」・・この2つは同じようですが違うものです。そういう違いが現代二胡弓と蒋风之特注弓にもあるように思います。

蒋风之特製二胡弓・先端部  弓の先端部分のこの独特の細工(右の写真を参照下さい)は、王女史が住んでいる北京民族楽器廠宿舎の1階のおじいさんが削っており、彼は王女史が蒋风之に二胡弓を供給する前に二胡弓を作っていた人ということなので無名の伝説的人物と言えますが、この方に削っていただきましたので、在庫限りで販売停止になります。蒋风之に供給していた二胡弓に以前からこの細工を施していたようです。それでこの手間をカットするのは美意識の観点から譲れないという話なのですが、そうすると棹全体の制作をその伝説的人物が請け負っているのかもしれません。

 蒋風之の古典奏法を学ぶことは二胡奏者にとって重要なので、そのためにオリジナルの弓も用意するというのは贅沢ですが、現代の二胡音楽とはだいぶん違うものだということを考えると古典奏法用に弓を1つ持っておくという考えもあると思います。繊細な表現にこだわったら1つの可能性としてこうなる、という見方もできると思います。

蒋风之特製二胡弓・手持ち部




王小迪琴弓 劉長福特製


    ¥ 8,500

 巻皮の色は碧と黒があります。カートのメモ欄でご指定いただけます。

 北京・中央音楽学院教授 劉長福が王小迪に特注している弓です。パッとみた感じ普通の弓と違いはありません。それで王女史に「どこが違いますか」と聞いてみます。「いろんなところがちょっとずつ違う」そうです。これではわかりません。はっきり違うのは手持ちのところの馬尾を巻いている布?が特殊で、一般的なこの種の皮よりも少し短いということです。しかしこれは重要な点ではない筈です。演奏のフィーリングが違います。劉教授はこれにかなり自信を持っているということで生徒さんにも勧めているそうです。柔軟性を高めたチューニングをしているようです。確かに使ってみるとそういう感じです。この秘密の1つには福建山中の野生の竹を使っているということがあるようです。ここでしか採れない竹があって清代から知られており、その特殊な地形によって産出される紅竹から楽器弓に使える素材を選んでいるということです。使った感じは適切な表現かわかりませんが、女性的な感じがします。軽くて柔らかく、運弓をしている感じが少ないというイメージです。非常に安定的で、腕の延長のようなナチュラルさがあります。女性向けという意味ではなく、弓自体が女性的な雰囲気です。これを女性が好むかどうかはわかりませんが、男性から見た場合、好印象なのは確かです。

劉長福特製二胡弓



紫竹琴弓


   ¥ 6,500

 割と安価な弓ですが、湘妃竹を使ったりデザインに気を遣っているなかなかの佳作です。質も良いし、作りが誠実なので購入したものです。

 このあたりの普及弓、確かに普及弓だがその中でもプレミアム感を出していきたいという市場の要求を丸のみしたような弓ですが、工場管理ですので王小迪のような手工品とは違い、ある意味でかなり商品として完成されています。粗がない、パッと見た感じがしっかり奇麗な商品です。規格も統一されています。こういう素人好みのすごく使いやすい弓を使って王小迪に行くと手工品ならではの醍醐味に感激しますが、しばらくしてまたこういう弓に戻るとこれがまた快適で良いという、拉きやすいというのは、一方で自由がないことを意味したりもするので一長一短ですが、ある程度規制されていた方が面倒がないし、たまにはこういうのも良かったりはしますね。演奏者の問題点を矯正してくるようなところがあるから、今まで好き放題やらしてもらっていたところにこういうのが来ると「ああそうですか」といういささか遺憾ではあるがまんざらでもないような妙な感覚に魘われますが、演奏者と弓の関係には対話があるということも今更ながらに思い起こさせます。普及弓にありがちな毛の質の悪さによる不快感も皆無ですので、ある種の諦観めいた妥協も不要というなかなか愛すべき二胡弓です。


寿康弓


   ¥ 6,000

 いわゆる南方弓です。普通、寿康弓というと白地のラベルが貼ってありますが、これには何もありません。工房へ卸す分で、単体の商品ではないからラベルを省いているのですが、普及品の寿康弓より質が良いということで購入することにしたものです。

 北京弓との大きな違いは弓魚での馬尾の固定方法です。このような固定方法を採用すると馬尾が少し捻れるのですが、この方が理に適っているということは二胡演奏の実際を考えると容易に想像がつきます。そうしますと北京式の弓には改善の余地があるように思えますが、実際その通りのようで、王小迪の弓には捩れが施してあります。弓魚は北京式の方が扱いやすいのでそれはそのままに捩れだけ入れてあるという、馬尾をぶら下げると弓魚が90度横を向きますのでわかります。そういう概念の最初期のものが上海弓であって、これがその代表的なものであるという、クラシックなものですが、今でも人気があります。




二胡弦堂
創業2008年 二胡弦堂