オーストラリア産のメリノウールを使った控制綿です。
かなり長めで、二胡3~4把分ぐらいはありますので、カットしてお使いいただけます。
二胡を調整することの1つの要素に雑音対策があります。新しい二胡で雑音が出やすいのは大抵良い二胡ですが、しかししっかり制していなければなりません。雑音は消してはいけません。この雑味の中に旨味が込められているからです。一方でむやみに放出されているのも問題です。調整面で幾つかあるポイントの1つとして控制綿を工夫するという方法があります。多過ぎても少な過ぎてもいけません。それで右の写真のように巻き込む量を見ながら、どれぐらいでカットするのが良いか判断します。写真はわかりやすいように撮影していますが、実際には駒も弓もつけた状態で綿を所定の位置に突っ込みます。スポンジは意外と理想的なのですが、蛇皮にくっついてしまう問題があるのでフェルトに包んで使われることもあります。短すぎるフェルトも、中に同じフェルトか異種材料を包むことで使うことができます。フェルトも材質がいろいろあって音がずいぶん違ったりします。
こちらは短めですが横幅があります。これをさらに縦に半分にするとあまりに細過ぎますが、このような綿を使うプロ奏者もいるので、それで本品は横幅が大きくなっています。もちろん、大きな横幅のままで使用しても何ら問題はありません。
綿を5層に畳む場合の呂建華師の方法
麻というのは優れた材料です。千斤に使えそうです。しかし耐久性の問題でそのまま使う事はできません。そこで、麻糸を普洱茶漬けにした後、松脂を含ませたものを製作しました。松脂を含ませることで非常に頑丈な絲になります。長さは1m以上です。
千斤の他の材料としては絹糸があります(A弦が使えます)。これは春先の蚕からの粘りが多すぎて衣類に使えない時期の糸を使うのですが、この粘りでコーティングされています。これが非常に音が良いとされている、そうなのであれば似たような構造で、麻に松脂、これは工業生産でも使う糸なので特別に発明したものではなく昔からあるものですが、これも良いのではないかということでテストしたものでした。
松脂は麻糸の中まで浸透させなければ強度はでません。表面に塗るだけでは滑り止めぐらいの効果しかありません。繊維に対して何らかの溶剤?を染み込ませることで強度の面でも音に対しても良いようです。天然綿は科学的な糸よりも音が良くないと考える奏者は多いです。しかし綿にも何かを染み込ませれば評価は変わるかもしれません。綿より混紡が良いともされます。繊維だけでも2種以上を混ぜていれば少しは良いようです。しかし天然の何かを浸透させている方が安定するようです。
村山工房で作られた千斤です。ナイロンテグスが付属します。襷掛けで縛るので、糸千斤とは若干勝手が違うと思います。
寧夏回族自治区・銀川の二胡愛好家 保学孝が考案製作した千斤です。
工作は写真の通りですが割と粗い感じがします。ヤスリも丁寧に掛けていません。1つ1つの規格も揃っていません。材は古い麻雀の牌を転用しています。作られたのは2000年代後半で材質は象牙なので、現在は写真のような色ではありません。飴色に変わってしまっております。
この製品の狙いは、板胡と同じような千斤として空弦対策をするものです。ついでに音質対策もしようという意欲作です。効果はいかがでしょうか? 二胡との相性があるので、もしよろしかったら1つ試してみて下さい。