中国から取り寄せる名工の二胡駒 - 二胡弦堂


二胡駒を作る彭老師  中国で生産されている優れた駒ということで扱ってきた本作ですが、確かに良い、十分良いものですが、弦堂の感想ではこれよりも村山チビ駒の方が良いという感じを持っています。彭師による本作も突き詰めればチビの一種です。機械生産なので粒が揃っている、それに対して村山駒は手工なのでバラつきはあります。それでも村山駒の方が良いということと、彭師については小店しか扱いがないと思いきや、最近はアマゾンにまで出ていますね。びっくりしました。それで小店が扱いを止めても問題なかろうと思うようになりました。在庫限りで処分し、以降は村山駒で行きたいと思います。

 中国の二胡駒は、一般的な普及品のものから、様々な工夫を凝らしたものまでいろいろあります。その中で現在捜索した範囲では最も優れていると思われるのが、この彭曙光(peng-shu-guang)の制作した二胡駒です。

 趣味が高じて色んなものを作っておられますが、材を時々取り寄せては二胡駒を制作し販売しています。たいへん品質は良いのですが、何の材を使っているのか明確にわからないものもあります。作っているご本人もよくわかっていない感じです。神代駒についてはかなり詳しい説明がありますが、その中で4300年前の材を使っているとあります。証拠は・・・御座いません。ただこういう古い材木関係のものは珍しいわけではありません。現在「石油」と言われているものは元は木材だったからです。それが化石化せず原形を留めたものということになりますが、だからと言ってそれが4300年前のものというのはわからないと思います。科学的測定法は結構いい加減なものだからです。メーターで4300と出たと・・とにかく、古い倒木、だと。そういうものです。おおらかな方は信じてやって下さい。

 次は皇宮旧料駒というものをやり玉に挙げますが、名称も意味不明で販促のためと疑われます。王朝時代には、紫檀は貴族が使う材、黄花梨は皇帝の材で、故宮に使われている建築材は海南黄花梨です。家具など多くは現在台湾故宮博物院にありますが、これらも黄花梨で、この二胡駒に使っている「皇宮旧料」というのは黄花梨ではありません。そういうことで詳細の説明が必要ですが、しかしこの駒については何も語られていません。なかなか古い二胡に合う駒がないことから、結構貴重なものですが、その方面から材を吟味し採用したもののようです。ネーミングについては、あまり突っ込まない方が良さそうです。しかし弦堂は販売者なので、そういう訳にはいきません。それで聞きました。・・・なぜか怒られました。思想的欠陥がないか?というようなことだったと思います。私は「自己批判いたします」と在りし日の旧時代的に答えておきました。(これは、ウケました。笑い事でないような気もしないではないですが・・) 追記:この「皇宮材」は弦堂の調査で本当に宮廷材であったことが判明しました。ハッタリではなかったようです。金絲楠という希少材で皇帝の玉座に使われていたようです。

 とりあえず、質が良ければそれでいいので構わないのですが、明確な説明に欠けるのであれば信憑性には疑問があります。日本でこういうことを言っていると全般的に疑われますし、あまり派手にやるようだと公正取引委員会から指導を受けたりもする訳ですから、いかがわしい感じ、とこうなります。しかし中国なので、顧客もエンターテイメント的に楽しんで軽く同調し、期待感が盛り上がりつつ、徐々にエスカレートして今日に至ったものと思われます。彭師というより、彭君大活躍でやばい、めまいがする日本人とは本質的に異なるという理解でOKだと思います。実際にはかなり大まじめに取り組んでいますので、中国語でこのような内容を掲載するのは問題があります。どっちが問題か? そこもまた、中国と日本の違いでしょうね。海の向こうでは否定する方に根拠がいるのです。14億人からして、こういう考え方です。敗色濃厚か! え? この話はこれでやめておきましょう。(追:諸々大変ということでご理解いただければと思います)

 質は非常に良く尚これが中国製ということで、その点でかなり珍しいものになりますが、そこにもまだ突っ込み所があります。制作中の写真がありますが、プロが工房で実際に制作している画像に見えますか? プロはこういうセット物のヤスリは買いますか? 企業がよく使う「これはイメージです」と言ったようなものと同類と見做すのが自然です。人間が作るとコンピューターのように完璧に同じものはできませんが、データが入力された旋盤であればすべて完全に同じになります。彭師の駒はそういうものです。確実に人間が作ったものではありませんが、中国では人間によって丁寧に作られた製品ということになります。ぜんぜん問題ありません。騙された方が悪いんだから。指摘もしてはいけません。メンツを立てないといけないのだから・・・

 台湾にはこういう活動の方は結構いますが、やはりこの人も台湾と交流があるようです。材の由来や名称がわかっているからと言ってそれが良い物とは限らないので、そういうどうでも良いことに拘らず、材を直接見て選択している点では日本人よりもまじめにやっているという見方はできなくはありません。実際、そのサウンドが質の高さを証明しています。ただ、そこから先の小細工に疑問を感じざるを得ないと、中国ではOKだと、そういうことになります。(中国では、これと似たようなものを作って、そして村山工房のコピーも最近はありますが、しかしコピーがどうとか以前に音質が問題なのであり、この要求を満たしている物は多くはありません)。

 視点とか思想的とか、何やらややこしいですがとにかく、二胡駒・・これを作って売っているようだなと、材に拘っているようだなと、簡潔にご理解いただければ、とりあえずは良かろうと思います。これら諸々のドリアン的中国臭にも関わらず果敢にこの駒に手を出す技術的方面からの根拠についても触れておきます。駒というのは容積が小さい程音質が良くなる傾向があります。音質というと漠然とした言い方ですが、要するにユーザーの評価は駒を小さくすればするほど高まる傾向があります。おそらく駒に穴を開けるのもそういう理由です。表面積も関係があるので闇雲に小さくすれば良いということではないですし、機能上ある程度の高度や接地面積は要求されるので限界はありますが、そのあたりを総合的に考えて極力追い込んだものがこの駒ということになりますから、音が良いのは当然です。そこまで追い込んだのであれば個体差は容認できません。そこで機械を使いますが、それにしても物が小さ過ぎます。そのあたりをクリアしたものという風に、中国人の大好きな"科学的"アプローチをもって完結させたものと理解することで良かろうと思います。駒は小さいので千斤についても見直す必要があり溝幅も5mmというところが注意点です。二胡には不確定要素が多いので、あらゆる二胡に合う駒のサイズを規定することはできませんから"科学的"結論は茶番です。ただ機械に入力するデータを決めないといけないので結論を出しただけです。従って、村山駒のチビのシリーズが彭師の駒に劣ることはありません。チビの方が小さいので良いことが多い上安価です。手作りの味もあります。村山先生ご自身はチビを主に使われるようです。しかし世間で受け容れられないと言っています。これは改めていかないといけない。弦堂はというと古楽器を主に使うので始めからチビばかりです。いろいろ拘ると中国も日本もチビ方面に向います。


彭曙光(peng-shu-guang)二胡駒


 彭氏の二胡駒に限りませんが、選択の目安としては古い二胡には明るい色の駒、新しい二胡には暗い色の駒が合うようです。

彭曙光二胡駒 六種

へ:欧州楓複合二胡駒
         ¥ 3,000 (写真左端、残り2つだけ残っています)

 弦が接触する部分を耐久させるために複合駒は補強してあります。楓は一般に西洋弦楽器の駒に使われます。




  紫檀空心二胡駒
         ¥ 2,000

 内部を極力くり貫いた駒です。質量が少なく、高さがあるという理想的な条件を追求したものと思われます。独特のスムーズな音の抜けが得られる上、音のボリュームも失わないので、二泉胡や中胡にも合います。また古くなって音が重くなりすぎてしまった二胡にも合います。一般的に普通の二胡駒は溝が彫ってあり、使っていくうちに溝が深くなりすぎてやがて使えなくなります。絹弦ではこういうことは、よほど柔らかい材を使えば別ですが、溝を傷めないので駒の寿命は考えません。絹弦では弦だけ交換しますが、スチール弦では弦の他に駒も交換が必要です。スチール弦の使用でこの駒に変えても駒の寿命の問題から解放されるわけではありませんが、溝がだんだん深くなってきて音がおかしくなってきている気がするという心配からはある程度解放されます。




  古典二胡駒10粒
  ¥ 1,500 (夏までには販売開始)

 二胡駒は、何を使ったらいいでしょうか?に記載されている昔の駒の扱い方では、奏者が楽器店に赴いて楽器に合う駒を探すのですが、数ヶ月で合わなくなってくるのでその都度楽器店で駒を探すことについて書いてあります。中国の大都市に住んで入れば可能ですが、それ以外の地域、日本においても店舗に行って商品の駒を次々試すということは難しいと思います。今合わない駒でもやがて使える時が来る可能性があるので購入して失敗したと思った駒も保管しておき、そうしてだいぶん溜まってきていれば自前で選択肢を持てますが、駒も壊れて来るしなかなかそういうわけにはいきません。昔の駒は今とは違い手工生産で形がバラバラでした。だから良かったのですが、今のように規格が統一されていると100個買って1つ合わないと全滅になります。また、左右不均衡の歪な駒が悪いとは限らず、むしろ良い場合が多いということもあります。楽器というものを純粋に追求した場合、昔の方が理にかなっていますが、商品をきちんとする日本の悪影響で中国も綺麗になりすぎています。しかし世の中に流されず独走して昔のやり方を変えていないところがあります。蘇州民族楽器廠です。さすがです。やっぱりなという感じがします。荒い昔のタイプの駒をまだ作っています。この10粒セットです。荒い黒檀を使っており耐久性は見るからにそれほどありません(絹弦であれば十分耐久します)。たまたま当たりが悪いと短時間でダメになるものも非常に少ないですがあります(弦堂で検品して怪しいものは省いてあります)。こういうものは弦の圧力で突然欠けたりします。その辺のデメリットも込みで、駒について扱いが分かっている中級以上の奏者、現代の"商品"に不満がある方向けのセットです。




  老松二胡駒
  ¥ 2,500 (夏までには販売開始)

 老松という材料は二胡駒に最適なものの1つですが、物流量が少ないため高価という理由からか、それほど出回っていません。二胡駒と楽器の相性が一時的なものであることを考えるとなおさらコスト高に感じられます。それに一般的な黒檀も最適な材料ですし、それで何ら問題はありませんから、そこへわざわざ老松というのも必ずしも必要とは思えなかったりします。しかし選択肢としてはあるべきですし、二胡駒に最適な材料は一通り知っておいた方が良いでしょう。




二胡弦堂
創業2008年 二胡弦堂