弦堂謹製イコライザー Nr.003 - 二胡弦堂


弦堂謹製イコライザー Nr.003

 低音の楽器、伴奏、二胡の一部の曲では低音中心でチューニングできる方が良いということもあります。



  フル機能版の一番低い周波数ポイントは要らないのではないか、低音の波と被る傾向があるのでこれは省き、使える400Hz以上の低い周波数帯のみで組みました。いずれもオリジナルのPultec EQP-1には無い数値なのですが、後にこの空白を埋める意図でMEQ-5が開発されてEQP-1の後段に使われていたようですが、これは200~7000Hzまでで3箇所調整することができました。だから200Hz以上からで十分使えるはずです。だけど400Hzからぐらいが使いやすいように思います。中国楽器の低音は200Hz以上と高いし、二胡は音域が低いので、本機ぐらいのカバー範囲が適している感じがします。かなり重厚感のあるパンチの利いたサウンドになります。低音の方は、30Hz(60Hz系)と35Hz(75Hz系)の2つで、かなり低くしてあります。音源にもよるのですが、30Hzの方は上げていくとムッチリした音になっていき、35Hzは音が散ったような印象になる傾向があります。



 HF(高域)の周波数帯を以下の通り変えた以外はモバイル版の仕様です。中華の20世紀のインダクターに中華の20世紀のコンデンサーを合わせた古き佳き時代のサウンドを復興させようという本機ですが、実際に音を聴くとイメージとかなり違いがあると思います。全く普通で、普通の人が聴いたら、これのどこが一体中華なのかわからない程です。それぐらい20世紀のパーツは優秀で、原音を損なうこともありません。米スプラグのブラックビューティーやビタミンQと比較してもクォリティの差がわからないぐらいです。だから本機のようなものをわざわざ製作して徹底して中華に拘る余り、意固地的に低質な何かを使っているわけではありません。現代のイメージで中華製品を捉えると面食らいます。そのため、中国音楽以外にも普通に使用できます。それぐらいのクォリティはないとそのうち使わなくなっていくし、欧米に負けるのだったら欧米のものを使えば良いということになっていきます。しかし注意が必要なのは、この観点が「質」だけに目を向けたものだということです。昔の製品はどうしても作っている人の文化的背景が反映されてしまいます。そして非常に感受性の高い人が聴くと、中華には妖艶な毒気が感じられます。魔都上海のサウンドです。音楽に色気がなくなると魂を失いますから、毒気なるものは世界中の音楽に、そして音響機器にも宿っています。しかし中華には東洋独特の美があります。微妙な香りのようなものです。この一見、どうでも良さそうな違いが大きいのではないかと、欧米の機器を使って二胡を拡声、或いは録音した時に違和感を感じて日本メーカー製に変えたりしたことがあれば、この重要性は理解されると思います。

400 600 800 900 1200 1500 1800



 パーツ:中国の古いインダクターは、それほど流通していません。インダクターを使うのは業務機か高級機に限られるので当然なのだろうと思いますが、こういう実測で600mH以上というどの箇所に使うのかよくわからない微妙な値のもの(実際には軍用無線機から取り外したもの)はもっと少ないので、偶然たまたま入手できたことで本機を製作できました。今後は余程のことがない限り製作は難しいと思います。新作で良ければ特注という方法もありますが、その場合はある程度の個数を発注する必要があるのでこのような需要が少ない機器においてはそれもできません。日本、場合によっては欧米のインダクターでも丁度良いものがあれば使うことも検討します。このような業務用トランス関係はアルファベットに続いて7桁で管理されています。音響だけであればこのような大きな番号で管理する必要はないので軍資の全体の管理における番号と思います。この管理の仕方はおそらく戦前のドイツから導入したものと思います。戦後ドイツは幾つかのメーカーで生産体制が分割されていましたが、シーメンスだけは戦前クラングフィルムが使用していた長い番号を使い続けていました。下の写真の例は左はシーメンスの出力トランスで、その右が本機で使用したインダクターです。右側の基板もシーメンスのもので70年代のものです。



 抵抗は大紅袍と巻線が2種3つで変わっていません。コンデンサーはグレーの大型のものは1つだけで後は小型のフィルムコンを採用しました。これも製造年代はほとんど同じで70年代です。黄色のものは90年代です。主な違いは耐圧でグレーの方は数百V流せますが、小型の方は160Vまでです。本回路には最大でも2V前後だと思うので、いずれの場合でも十分な許容範囲です。ただ音はちょっと違うと思います。小型の方がすっきりした抜けの良い音がします。どちらが良いというわけではありませんが、この低音用機器に関しては音の抜けは重要なのではないか、バランスの問題ですが、そういう理由で選択しています。

弦堂謹製イコライザー Nr.003   ¥68,000 

 重量:961g
 ケースの寸法:幅 155mm、奥行 130mm、高さ 55mm




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