タイ・ソードゥアン - 二胡弦堂

 

 シルクロードを通って伝わった弦楽器が中国を経由して東南アジアに伝播した経緯ははっきりわかりませんし詳しく追求する意味もないですが、ウィグルで見られる二胡がほとんど基本仕様を変更させることなく東南アジアに達しているということは意味深いことです。使用に関しては、二胡奏者は東南アジアの二胡もこれまでの基礎知識と技術で扱うことが可能です。

 文化的な観点から見た場合、東南アジアの盟主はカンボジアです。ポルポトの虐殺を経てそれでも尚、水準が高いのはやはりカンボジアです。かつて高い文化水準を誇ったクメール王国は現在のカンボジア、ラオス、タイのほぼ全域を支配していました。クメール音楽の伝統は今なお各地に残っていますし、主要な貿易相手の1つだった琉球王国にもその名残が見られます。タイ中部(バンコク付近)は東はクメール、北は中国、西はインドと様々な文化の影響を受ける位置にあり、その上、西洋音楽の影響もあります。それら全く違う様式をうまく取り入れるためにタイ人は7平均律を作り出し、様々な音楽を咀嚼してきました。

 タイ音楽の場合おおまかにこういう背景がありますので、楽器の方も対応はフレキシブル、北京二胡の現代的なものもそういう傾向がありますが、ソードゥアンの場合は内弦開放弦がGかそれより少し低いあたりですからこちらの方が使い良いのではないかということもあって、少し入荷することにしました。楽譜は現代ではタイ文字ですが、戦前の譜は数字譜だったのでそれを5冊分、1冊は全部揃っていませんが、ソードゥアンの購入者にダウンロードで提供します。ソードゥアンに付属のスペア絹弦はすでに装着されているものと種類が違います。しかしながらいずれもソムチャイ提供のものです。

 在庫:弦堂で販売している楽器リスト
 お問い合わせ:erhu@cyada.org  erhugendou@gmail.com


 これらのタイ楽器はカンナチャブリにあるソムチャイ楽器工房のバンコク支店で購入したものです。


これが入り口です。


楽器の調律をしています。
日本語を話せる人はいませんが、青いシャツの人物がある程度中国語を話すので商談は可能です。


調律はこのような物体を貼り付けて行います。牛のふんと鉛とあと何かの混ぜ物だったと思います。






 この時に製造していたのは打楽器です。尚、本工房は宮廷楽器の製作工房なので政府関係者も出入りしますが、その関係者というのが芸術家であるわけで、成金でもここまではしないだろう的レベルにまで着飾った、しかし上品な老婦人の襲来を受けた場合「あなた話せないのにどうやってここまで来たの?」「かわいい」などと弄られますので、それなりの覚悟というものを備えた上での見学が求められます。


秋篠宮はキム(揚琴)を買って帰ったと言われています。いずれも美しいデザインです。


2階に上がりますと、目的のものが見受けられますので物色します。


1把だけでしたが、クメール二胡もありました。タイ伝統音楽は題名にクメールを冠するものが多く、カンボジアからの伝来のこれらの曲にクメールテイストを加えて演奏したい場合に、タイでも使われる楽器です。